「中道」の概念とは何か。私なりの理解を書いて置きたい。中道という言葉そのものは、わかりにくい概念である。この言葉は、仏教に由来する。仏教の最も大切な概念は、「慈悲」である。慈悲とは、「相手の幸福を願い、その苦しみを取り除いてあげたい」という「思いやり」の言葉である。「抜苦与楽」との四字熟語で表現できる。つまり、相手の苦しみを取り除き楽な心にするとの意味になる。相手の苦しみに寄り添う「同苦」とも言える。誰でも自分の悩みや苦しみを聞いてもらうことで、気持ちが楽になることを経験していると思う。現代的に言うならば、「対話」の根底をなす概念である。
「中道」を理念として、「大衆と共に」を掲げて立党したのが公明党である。「人間の幸福と平和」の実現を目指す政党である。人間の幸福は、平和なしには存在しない。私自身、長い間自公の連立政権には疑問を感じていた。自・公の連立により、立党理念が揺らぐことを懸念していた。公明党が連立与党政権下で、一定のブレーキ役を果たした側面と自民党の政策を推進した側面がある。自民と公明では、議員数では圧倒的な違いがある。現実として、公明党の政策の実現のハードルが高い。公明党の政策の一部が実現したことも事実であろう。しかし、その一方で「平和と福祉の党」の看板が揺らいだことも事実である。
自民党・高市総裁の誕生に伴い、公明党が連立を離脱した。最大の理由は、「政治と金」の問題である。その後、自民・維新の連立政権となった。維新との連立で、憲法9条・第2項の削除及びフルスペックな集団自衛権を目指すことで合意している。国家安全保障の根幹の問題である。賛否両論があることは理解できる。野党議員の台湾をめぐってどのような状況が、日本とって「存立危機事態」に当たるのかとの質問に対して、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と高市首相が答弁した。この発言が、中国との関係悪化を招いている。日本経済への影響は大きい。
現在の世界は、トランプ・習近平・プーチン・ネタニヤフの専制主義による「力の支配」の状況にある。「分断と対立」をエネルギーとして、極度の右傾化が進んでいる。日本の政治状況は、多党化へと進んでいる。極右派勢力が力を増している。右派とは、物事を力による解決を求める。「力には力を」との対立的な考え方と言える。日本は、戦前の反省から「平和国家」として歩んできた。この歩みを阻害する勢力が多数を占める状況に懸念を抱いている。この動きを抑えなければならない。
16日、立憲と公明が新党「中道改革連合」を設立した。高市首相による電撃的な解散表明が、新党への動きを加速させた。連立離脱後、公明・斎藤代表は「中道改革」の結集を図りたいとの発言をした。立憲・野田代表との間で、「中道」を理念とする新党設立に合意した。組織には、理念が不可欠である。その理念の下に、具体的な政策を議論し決定することが民主主義の常道である。民主主義は、「対話」による問題解決を目指すものだ。
今回の「中道」を核とする新党を歓迎したい。具体的な政策を注視すると共に、「人間主義」の下、「国民の幸福と平和」を実現するための政党として期待する。