<平安時代の庶民の生活>

 平安時代の庶民は、貴族のような華やかな生活とは対照的に、常に飢饉や病、重税のリスクと隣り合わせの厳しい生活を送っていた。

 

   <平安時代の貴族と庶民の生活の違い>

 1.住居 

  * 貴族:寝殿造(広大な敷地に池や庭園を備え、渡殿で建物同士を連結。風通しは良いが壁が少なく防寒性能は低い。)

  * 庶民:竪穴住居・掘立柱建物。地方では竪穴住居、都では土間に柱を立てた簡易な長屋。畳や板張りはなく、草や藁を

  敷いて生活。

 2.食事

  * 貴族:白米(蒸した高盛り)と豪勢な副菜。一日2食。魚介類。鶏肉・干物などを塩や酢で調味して食す。栄養バランス

 の偏りから脚気等に悩まされた。

  * 庶民:雑穀・玄米と粗食。一日2食。年貢で白米を取られるため、主食は玄米、麦、粟(あわ)、稗(ひえ)などの雑穀。 これらを蒸した「強飯(こわいい)」や粥。野菜や塩、味噌の原型が中心。 

 3.文化

  * 貴族:国風文化・活字文化。仮名文字を用いた和歌や物語文学。年中行事や蹴鞠、和楽器の演奏を楽しむ。

  * 庶民:口承文化・芸能。文字の読み書きは限定的。田植え時の歌舞「田楽」や、大道芸の原型となる「猿楽」を楽しむ。

 

   <労働と社会の厳しさ>

  * 重い税負担:米を収める「租」のほか、特産物を収める「調」、労働や兵役の代わりとなる「庸」や「雑役」があり、

 生活を強く圧迫していた。

  * 飢饉と疫病:天候不順による不作や疫病の流行が頻発し、都の路傍にも病者や餓死者があふれることが珍しくなかった。

  * 治安の悪化:国家の警察力が弱まると武士階級が台頭する一方で、盗賊や野武士による掠奪にも脅かされていた。

 

 <生活様式における際立った特徴>

  ①    「みやび」と「実用性」の対比

  貴族の服装は、十二単や束帯といった重厚で色鮮やかな絹織物でしたが、庶民は作業性を重視した無地や草木染の麻布を

 着て素足や草履で過ごしていた。

  ②    信仰観の違い

  貴族の間では、陰陽道による「物忌み」や「方違(かたたが)え」、浄土信仰による極楽往生が重んじられた。一方で

 庶民は、日々の豊作祈願や疫病退散を願う素朴な神仏信仰や怨霊への恐れが生活の根底にあった。