人として最も大切なことは、「他者への敬意と感謝」ではないか。言うことは容易だが、実行することは難しいことだ。人の振る舞いにこそ人間性が表れる。

 メジャーリーガー大谷翔平選手の人間性を称える声が多い。一人の日本人として誇りに感じている。野球の神様と言われるベーブルースを越えるとも評価されている。唯一無二の投打の二刀流の活躍が、世界中の多くの人を魅了している。彼の活躍の素晴らしさは言うまでもない。日本人初のホームラン王、MLB前人未到の50HR・50盗塁の達成及び4度のMVP受賞がその活躍を証明している。多くのレジェンド、敵将の監督及びスタープレイヤーが、その活躍だけではなく人間性を絶賛している。人としての謙虚さと他者への敬意の行動が高く評価されている。

 元パドレス(現タイガース)のジャスティン・バーランダー投手が今シーズン限りで引退を表明した。通算266勝の名投手であり、将来の殿堂入りが確実視されている。バーランダーの投球に関して、かつてイチロー氏は「速球だけではなくそれぞれの変化球が一級品。どれでも三振をとれる。やっぱりいいピッチャー」と絶賛した。

 2018年、大谷選手はバーランダー投手との初対戦で、3三振を喫した際、大谷は「野球をやってきて、おそらく打席の中で見た一番速い球。スピードもそうですけど、ここまで品のある球はなかなか経験したことがない」と最大の賛辞を語った。「いくら払ってでも価値がある対戦」との言葉は、バーランダーを喜ばせた。その後、二人の間でリスペクトする関係が築かれた。バーランダーは、大谷ファンを公言し続けてきた。一度は、翔平と同じユニホームを着て一緒に戦いたかったと。そのことが心残りの一つだと語る。今季のオールスターで、バーランダーはレジェンド枠で選出された。一方、大谷はMLB両リーグ最多得票で選出されたが、左膝の炎症で辞退することを決断した。大谷選手は、本当に申し訳ないと謝罪した。大谷自身が最も残念な思いであることは間違いない。

 大谷との再会を楽しみにしていたバーランダーのもとに二つの箱が届いた。そこには、一通の手紙が添えられていた。オールスター辞退への謝罪と「あなたとの対戦でメジャーのスタートをきることができた」との感謝の思いが書かれていた。ひとつの箱の中には、ジャスティン・バーランダー宛のサイン入りの大谷のユニホームが、もう一つの箱には、弟のベン・バーランダー宛のユニホームが入っていた。大谷翔平選手の敬意と感謝の思いを二人の心へ届けた。このような気遣いにこそ、大谷翔平選手の「人間性」そのものが表れている。人しての素晴らしさを感じると共に、長く健康であることを切に願っている。