8日の衆議院選挙は、まさに高市劇場だった。「高市旋風」が巻き起こった。自民党史上最大の316議席を獲得。最大安定多数の議席だ。連立の維新は36議席。維新は、高市政権のアクセル役を声高にした。高市政権の暴走を危惧する。

 2005年9月の「郵政解散」は、小泉純一郎首相が「郵政民営化」の是非を問う。衆議院を解散し、反対派の議員を公認せず「刺客」をたてるなど、賛成か反対かを明確にした選挙だった。「小泉劇場」と命名された典型的なポピュリズムの選挙だった。初当選の新人議員(83人)は、「小泉チルドレン」と呼ばれたが、2009年には大半が落選した。

 近年、ネット(SNS)が選挙に与える影響が大きくなっている。2024年、都知事選挙で「石丸現象」が生じた。2024年「斎藤現象」が起きた。斎藤知事のパワハラ疑惑で、不信任された出直し選挙で、立花孝志(現被告)が自身の当選ではなく、斎藤の応援を目的に立候補し、真偽不明の情報やデマの拡散。「二馬力選挙」が問題となった。元兵庫県議が自殺する事態までになった。

 今回の衆議院選挙で、ユーチューブの「高市動画」の再生回数が1億6千万回を上回った。明らかにネットによる宣伝広告だった。社員の過労死で話題になっている「電通」が広告塔の役割を果たしたと推測される。演説中のリアルな切り抜き動画が拡散された影響も大きい。選挙が「高市人気投票」になってしまった。「総理が私でいいのか」との信任を問う選挙自体が異例であった。議院内閣制における選挙では考えられない「選挙戦術」に出た。政策の「白紙委任状」を突き付けた選挙になった。「高市劇場」が功を奏した。高市氏は「私を応援して下さる人は自民党に入れて下さい」と訴えた。政策の具体的な中身は言わず、「強い国、強い経済、豊かな明るい日本」のポジティブな言葉を繰り返した。発信力の強さを見せつけた。閉塞状況に不安を抱く多くの人たちに「期待感」を抱かせた。自民党政策が白紙委任されたわけではない。

 高市政権は、「責任ある積極財政の推進、インテリジェンス機能強化・国家情報局の設置、外交・安全保障・防衛力強化」を政策の柱としている。憲法改正の発議へと向かう。「高市一強」の独走を許してはならない。我々国民は、しっかり監視しなければならない。