教員の資質の低下が懸念されている。26日付・毎日新聞の一面は、公立教員採用・最低2.9倍の見出しである。2025年度の公立学校教員の採用倍率は前年度比0.3%減となり、過去最低を更新した。倍率の低下は8年連続で、一般的に人材の質を維持するために必要とされる3倍を初めて下回った。大量退職に伴う採用者の増加に受験者数が追いついていない。

 教員の労働環境の悪化が最大の原因と考えられる。一言で言えば、教員の仕事に魅力がなくなっているのが現実だ。

 私が2014年の毎日新聞に、「教員の多忙化」の投稿した文章を記す。

「教員・学校評価制度が導入されてから、報告書類等の雑用が増えてきて、教員がパソコンに向かう姿が日常的になっている。現在の教員が、私の教員時代よりもはるかに多忙になっていることは事実です。物理的に余裕がなく、教員本来の仕事である生徒と向き合うことや教育に時間をかけることができないのです。教員間のコミュニケーションの欠如を生み、教員集団としての教育力が劣化しています。教育的活力が衰退することが大きな問題だと感じています。教育現場を重視する教育行政の改善が求められます。」

 教員の資質の低下が、採用倍率の低下と直接リンクしているとは一概に言うことはできないと思う。私のような団塊世代を教えた教員は、形式的な採用試験だった聞いている。教員の資質の問題は、今に始まったことではない。私が勤務していた高校には、個性的な教員が多かった。人間的に魅力のある教員もそうでない教員もいた。教員の世界も人次第と言えるが、2000年代前半から教員の多忙化と管理化が著しくなっている。それ故に、個性的な良い教員が少なくなり、生徒への影響も大きい。

 教員の資質として求められるものは、学力とコミュニケーション力にある。学力は採用試験、コミュニケーション力は面接で判定される。しかし、人間力の判断は難しい。

 東京学芸大学岩田康之教授は、「2010年頃から教員の基礎学力低下が指摘されており、初任者研修も基礎的な内容にシフトしている。特に小学校で倍率が2倍を切る自治体も出て来た。基礎学力やコミュニケーション力で明らかに適性を欠く志望者を除くと、ほぼ全員が採用されてしまうような状況だ。質の影響を憂慮すべき段階に来ている」と指摘する。

 教員の仕事の魅力は,児童生徒との触れ合いにある。クラス担任の負担が大きいのが実情だ。担任は保護者との関りも伴う。最近知ったことだが、保護者からのモラハラで精神的な苦痛を感じている教員が多いようだ。私が現役の頃は、教員に対する一定の敬意が払われていた。保護者からの不当な要求が問題として顕在化し始めたのは1990年代後半頃からで、「モンスターペアレント」という言葉が使われるようになったのが2007年頃のようだ。私が最後に担任をしたのが、1993年・46歳の時だ。この頃から担任を希望する教員が少なくなったと記憶している。

 教員が生徒と関わる時間が確保できない状況は、教育の意義が失われていることを意味する。教員のやりがいは、教える学力の研鑽と児童生徒との触れ合いにある。

 <言の葉に 返してくれる 君の笑顔(かお)心豊かな 触れ合いの時間(とき)>