私は、30年以上前に御殿場高校に勤務していた。その時に、英語科のW君と知り合った。彼は、15歳年下の若い教員だった。その後、普通高校と進学校の2校に勤務して定年(60)を迎えた。彼の年代から、共済年金支給開始が段階的に上がり65歳になったようだ。私の場合は、定年で共済年金支給開始、国民年金(基礎年金)の支給開始は64歳になった。私は64歳まで再任用ハーフ(20時間勤務)として4年間勤務し退職した。

 W君の世代は定年で退職すると、65歳まで無年金生活になる。定年から5年間はフルタイム勤務(40時間)を余儀なくされる。再任用は、1年ごとの更新となっている。分掌は、担任・分掌主任・部活正顧問の一つを強いられるようだ。手取りの給与は約22万になり、定年前のほぼ半額になっているようだ。依然として教員の働き方改革も進んでいないのが現実だ。

 彼は、今年度に沼津から裾野へと転勤になった。メールの連絡で、久しぶりに会うことにした。昨日、彼の勤務後に、コメダ珈琲店で長い時間の雑談になった。現在の教育の話しを含め、様々な話題になったが、話題のキーワードになったのは「対応力」であった。

 彼の授業方法に工夫が見られ、現在の生徒の学力に対応する授業を行っていると感じた。基礎の基礎から徹底して教えるスキルに感心した。中学校で置きざれにされた生徒への授業対応は厳しいと言える。英語嫌いの生徒が大半のようだ。物事への興味・関心が低く、成功体験を持たない生徒に対応する授業は、まさに教員としての独自のスキル・スタイルが求められる。教員の仕事に限らないが、物事への「対応力」なしには人としての成長もない。W君もベテラン教員としての力量が感じられる。物を言わない教員から物を言う教員へと変わっている。生徒に対し具体的な例をあげ、分かり易く話しをする指導をしていることがわかる。教員にとっての最大の研修は、校種の違う学校で教え、試行錯誤しながら工夫努力することで、教師としての成長があると思っている。教員の一人の人間としての成長が、生徒に良い影響を与えることは言うまでもない。生徒に良い影響を与えられる教員はそれほどはいない。言うべきことをきちとん発言できる教員も実に少ない。教員社会も前例主義で、変革への問題意識が低い。物事を自分で考えることができる「自律的な人間」を育てることが教育の使命である。その役割を担うのが教員の仕事であるはずだ。

 以前にイチロー氏が大谷翔平選手について聞かれたときに、翔平は「対応力」が優れていることを語り、「打者として50本を打って本塁打王を取り、翌年投手としてサイヤング賞を取れる夢のようなことのできる才能を持つ選手」と評したことを記憶している。一流は一流を知ると言うことだ。大谷翔平は、世界のスーパースターとして多くの人たちを虜にしている。連日のBSテレビ中継で、大谷翔平の活躍を楽しみにしている一人だ。彼のチームで勝つ姿勢は、強豪ドジャースのチームへの影響は大きい。昨シーズン、ワールドシリーズ制覇の原動力となった。大谷翔平選手の「対応力」の高さと凄さを称賛してもし過ぎることはない。