私のような団塊世代や年長の世代は、パソコンを苦手にしている人が多い。大部分の人たちと言っても過言ではないだろう。アナログ人間として生きてきた故だ。パソコンが仕事上不可欠な現代では、パソコンの操作なしに実務は不可能になっている。日常の生活においても、スマホの時代になっている。私たちの世代は、時代の変化に対応できなくなっている。現実の社会は、インスタなどのSNSの世界が一般的になり、影響力も大きい。

 私は、40代の中頃に、初めてワープロに触れ、50歳頃にパソコンに移行するようになった。この年齢になると、新しいことに挑むことは、なかなか難しくなる。私自身は、仕事上では、テスト及び授業プリントの作成さえできればいいと思い、ワープロの操作からパソコンに変え、ワードを何とか使うようになった。しかし、エクセルの操作は諦め、エクセルによる成績処理は、若い人たちにやってもらっていた。私たちのようなアナログ世代は、パソコンへの知識や技術がなくても、仕事ができた時代と言える。「必要は発明の母」との諺があるが、私たちの世代は、情報システムの必要性に迫られていなかったと言える。パソコンの進歩とともに、情報システムの技術が不可欠になって来ている。

 現在進行中のコロナ禍では、「リモートワーク」が求められ、働き方改革へと変化している。IT技術の活用なくして、テレワークのような仕事をすることはできない。生産現場のような労働は、リモートワークができるわけではないが、パソコンを道具として扱えないと仕事にならなくなっている。自ら実務を担当しない立場にいる人たちは、パソコン操作の必要はないが、そのような人は、一部の人たちに限られる。働く人たちの多くは、IT技術を身に着けることが不可欠な時代になっている。

 これからは、デジタル化が進んでいくことになる。菅政権は、「デジタル庁」の新設に動き始めた。その鍵となる「マイナンバーカード」が普及していない。個人情報の問題があるが、行政の効率化に役立てなければ意味がない。現時点では、利便性はほとんどないと言える。健康保険、免許証等の紐づけがされていくと思われる。縦割り行政の改革をしなければ、データ情報の一元化は難しい。コロナ禍の「Go to トラベル」がスタートしたが、トラブルが生じている。インターネットを通じての旅行サイトでは、割引制限がかかり始めたとのニュースが入ってきている。旅行代理店を利用するアナログ方式のほうが、トラブル回避できるようなシステムでは、先が思いやられる。デジタル化における政府の責任は重い。

 AIの進歩に伴い、社会が大きく変化してきている。将来、様々な分野で、AIが支配的になると考えられる。AIが様々な分野で、人間の能力を越えてきている。これからの時代は、「人間とは何か」が問われ始めているように思えてならない。人工知能に対し、人間の知能・知恵が問われていることに他ならない。パソコンを道具として使いこなすと共に、「人間力」を養う教育が大事だと思っている。