日本人の古い体質は、変わらないものだ。「村社会」の論理が、未だにまかり通っている。安倍首相辞任表明からわずか4日で、自民党後継総裁が、事実上決まっている。
この私でさえ、安倍首相辞任にいたる報道から、後継者は、菅官房長官ではないかと感じたが、その通りの流れになっている。二階幹事長(81)のシナリオ通りに、後継総裁決定の流れになった。昨日の自民党総務会では、党員投票がない両議員総会(394人)による新総裁選出が決まった。岸田政調会長(63)と石破元幹事長(63)が立候補を表明した。菅官房長官(71)は、定例記者会見では、「コメントを控えたい」と立候補を明らかにしていない。それにもかかわらず、菅新総裁が既定路線になっている不思議さは、一体何であろうか。今日にも立候補すると報道されているが。
「民主党は今回、議員だけの代表選なので、候補者は民主党議員の顔色をうかがい、多数派工作に終始。自民党が総裁を選ぶ際には、全国で遊説を行っていて国民に広く考えを示し、政策論争を深めてきた」(民主党政権時2011年8月、菅直人首相退陣後の菅義偉官房長官のブログ)と野党時代に菅氏は書いている。菅官房長官にこのことを問えば、「特に問題はない」と答えるに違いない。
自民党若手議員を中心に「党員選挙をやるべき」との要望書が出されたが、総務会においては、そのような意見を踏まえて、総務会長一任で決着したようだ。自民党員の中から、「総裁選挙に党員が投票できないのはおかしい」との意見が多く出ているようだ。当然のことと考える。394人の衆参両議院の議員総会での新総裁選出が決まった。141票(47都道府県に3票)の地方票が加わるが、細田派、麻生派、二階派が菅官房長官擁立を決め、他派閥も追従し、推薦することになった。これが民主主義の姿であろうか。「勝ち馬に乗る」旧態依然とした古い体質は何にも変わってはいないし、自浄作用は全くないと言える。将来へのビジョンもなく、派閥の利害だけで総裁を選出する。言うまでもなく、与党の総裁の選出は、総理大臣の選出になる。国民の信頼を得られるよう、透明なプロセスを得て、選出すべきではないのか。国民の政治不信が高まるばかりだ。
新総裁の任期は1年、衆議院議員の満期まで残り1年になっている。衆議院解散総選挙をいつやるのかが政局の焦点になる。一方で、新型コロナの収束の目途が立たなく、経済が冷え込んでいる。戦後最大の国難を迎えていると言っても過言ではない。この難局に対し、
菅新内閣はどう対処していくのか。安倍内閣の継続だけで、国民は納得できるわけがない。麻生副総理、二階幹事長の留任が予想されるが、最悪の政権継続になる。菅新政権の世論調査次第で、流動的な政局になると考えられる。菅総裁で選挙を戦うのか、来年の9月に別の新総裁を選出し、その新総裁の下で戦うのか、「選挙の顔」が見ないのが現状ではないか。
自民党の旧態依然とした古い体質は全く変わってはいないことが再確認できたが、将来への展望が開けないことは、国民にとって、これほど不幸なことはない。二階幹事長、麻生副総理、菅官房長官(新総裁)には、早く身を引いてもらいたい。「百害あって一利なし」ということだ。