新型コロナウイルスの報道を日々目にしている。感染症のパンデミックと呼ばれる世界的流行になっている。人類の生存を脅かす未知のウイルスとの戦いだ。まさに戦時の状況にある。緊急事態宣言により、我々の行動自粛を要請され、経済活動も制限されている。「命の不安」と「生活の不安」に脅かされている。弱者への経済的支援が急務であり、政府はその支援対策を迅速に対応すべきである。

 このような状況下で、政府は不要不急の法案を通過させようとしている。国家公務員の定年延長法案と検察庁法改正案を束ねて、強行審議し法案を通過させる意図が明らかになっている。これに対して、インターネット上で、「#検察庁法改正案に抗議します」とのツイッターの投稿が500万件を越えたとも報道された。私も投稿した一人ではある。根本的には、安倍内閣への「不信感」の表れであり、「怒り」でもある。

 この問題には、二つの疑問点がある。

1.黒川弘務検事長人事の問題である。安倍政権は、1月末の閣議で、2月に定年になる黒川検事長を半年間定年延長する閣議決定した。このことに、政治的意図が働いていると見られている。黒川氏は安倍政権に近い人物と報道されてきたが。何故、前例のない定年延長したのか、納得できる説明がなされていない。

2.内閣の検察への人事介入の問題である。検察官は、国家公務員ではあるが、一般の国家公務員と異なり、司法権の役割を担っている。そこに検察の独立性がある。総理大臣でも逮捕し、起訴できる権限を持っているのが検察である。不偏不党の正義を貫くのが検察官の使命である。

 今回の問題は、時の内閣が検察官のトップ人事に、特例とする恣意的な介入がなされる危険性、可能性が生じるところにある。組織は人事権を持つトップで決まると言っても過言ではない。上昇志向は誰にでもあるが、エリートほど出世欲が強いと言えるだろう。検察官が政権を忖度するようになれば、三権分立は形骸化する。世間一般では、出世することを偉くなると言われている。私は、偉くなるとの言葉には違和感を抱いてきた。地位や役職が上がることと人間性とは違うと思っているからである。人間的に偉い人は、地位や役職に関係ないというのが私の持論である。リーダーは人間的にも魅力がある人が望ましいとは思っている。しかし、リーダーで人間的に魅力のある人は少ないのが現実である。日本のトップリーダーである安倍総理に対して、人間的に魅力を感じている人はどのくらいいるだろうか。残念ながら、ほとんどいないのではないか。世論調査のたびに思うことだが、安倍総理を支持しない人の半数は、「人間的に信頼できないから」と答えている。支持する人の半数は「他に人がいないから」だと。積極的に支持する人は少ないのではないか。私がリーダーに必要な資質として考えるのは、「嘘をつかない」「謙虚さ」「思いやり」のある人で、責任感を伴うリーダーシップを持つ人と考えている。完璧な人間は誰もいないし、リーダーに完璧さを求めるつもりはない。総理は、国民から信頼されるリーダーであることを望む。

 国家公務員の定年延長法案には賛成であるが、検察庁法案は切り離して、コロナが落ち着いてから、国会でしっかり議論することを望む。今は、与野党共に、コロナ対応に全力を尽くしてもらいたい。