大阪桐蔭が、史上初の2度目の春夏連覇を達成し、5度目の真紅の優勝旗を手にした。スター軍団・大阪桐蔭が、雑草軍団・金足農業を13対2で破って優勝した。大阪桐蔭の優勝は、本当に素晴らしいが、同様に、準優勝の金足農業の健闘を讃えたい。
第100回記念大会にふさわしい「公立」対「私立」の戦いになった。公立高校が決勝進出したのは、佐賀北が広陵を破って優勝した2007年以来、11年ぶりのことだ。金足農業はメディアにも大々的に取り上げられ、注目の決勝戦となった。エース吉田輝星君に注目が集まった。私が注目したのは、3回戦で強豪校・横浜に勝った時からだ。大会前の予想としては、本命の大阪桐蔭に対抗するのは、横浜と日大三の二校ではないかと思っていた。ダークホースの金足農業が、3回戦対横浜と準決勝対日大三を破る偉業を成し遂げての決勝進出だった。大会前に、このような決勝対決を誰も予想しなかったであろう。私は、吉田投手の投手としての素材に注目した。投球ホーム、野球センス、クレバーな投球術を持ち合わせた素晴らしい選手だと見ていた。将来的には、桑田真澄さんのように、プロ野球で活躍する投手になると期待している。
1978(昭和53)年に、PL学園(大阪)の初優勝以降から、大都市部だけではなく地方都市にも、優秀な選手を集めて学校の名をあげる私立高校が増えてきた。所謂、野球留学のシステムが確立していった。そのような時代の流れの中で、公立高校が代表校になる県が減少していくことになった。今大会出場56校のうち8校である。
静岡県では、公立と私立が拮抗しているのが現状だ。近年における公立の代表が選抜出場した静岡高校であり、私立の代表が常葉大菊川である。菊川は今大会では、3回戦で近江(滋賀)に敗れたが、充分健闘したと言える。静岡県勢の夏の甲子園での優勝は、戦前の1926年の静岡中学(現・静岡高校)まで歴史を遡る。現在の静岡高校は、スポーツ推薦枠を設けてから伝統校として復活してきた。しかし、県立高校であるために、県外出身者はいない。金足農業と比べると、同じ公立高校でも、野球環境は異なっている。金足農業は、レギラー9人の選手で、秋田大会と甲子園で戦ってきた。まさに、吉田投手を中心とした「雑草軍団」である。甲子園の準優勝は、大偉業とも言える素晴らしい結果である。私に高校野球の原点を思い起こさせてくれた。高校野球は、学校教育の一環である部活動であることを。
夏の甲子園は、国民的イベントになっていることに異を唱えるつもりはない。野球ファンの一人として、これからも熱戦を繰り広げ、我々に勇気と感動を与えてくれることを願っている。大阪桐蔭おめでとう!