4年目(2002年)は、1年生の授業を持つ予定でいたが、2学年所属になった。
この学年は、英語科の1歳下のAさんが学年主任だった。私がこの学年の英語
の学年責任者をし、Aさんと役割分担をした。教科書・教材の選定、定期試験、
実力試験の製作予定、進度調整、成績をつけることなどは学年の独立性を重ん
じていた。他学年の教員にはその流れに沿って協力してもらった。
この学校の英語科では、「シラバス」(本来の意味とは違う)との言葉を使って、
2年、3年で希望による「習熟度別授業」を行っていた。文系3クラスを4集団、
理系3クラスを4集団にして、シラバス1が上位者向き、シラバス2(2クラス)
が標準レベル向き、シラバス3が基礎向きに分け、希望を取って、授業集団を作
り授業を行なった。シラバス1にはプラス教材を与えていた。定期試験は、範囲
調整でシラバス3の進度に合わせた。私は文系シラバス1と理系シラバス3の授
業を担当し、Aさんには理系シラバス1と文系シラバス3を担当してもらい、シラバ
ス2は、他学年の教員に担当してもらった。同じ教科書を使って、互い違いの授業
をすることは実に難しいことだ。進度、教える内容の基本的部分と応用的部分を考
えて、シラバスの生徒の学力を考慮し、教材研究をしながら授業を行うのである。
私の作る授業プリントは共通学習事項をまとめた。私には、この学年の文系シラバ
ス1の2年間の英語の授業が印象深く残っている。3人の優秀な男子生徒がいた。
彼らは、御殿場南中学の出身で、沼津東高校に入れた生徒である。Yは大変な
努力家で学習時間が長く睡眠時間を減らして勉強するような生徒であった。
Oは(英語科の研究室に頻繁に来て私と話していた)とても頭が良いが、
努力に不足していた。Nは目立つタイプの印象はないが努力家である。
三者三様で個性的であった。彼らが中心になって集団の雰囲気を作っていた。
私は、余談・雑談を入れながら、前の学年で使った「フレーズリーディング」の
方法と、「音読」を重視する授業を行った。この集団にはレベルの高い余談を
入れたとの記憶が残っている。もちろん教材と関連した余談であったが、特に、
人生、言語、文化、教育、社会に関しては、私の物の見方や、考え方を話した
と思う。自然科学系の分野への余談をすることはできなかった。私の苦手な分
野であったからだが。ある時に、他のクラス集団の生徒が私の授業中の教室
(チャイムがなり、休みに時間)戻ってきた時に、入りにくい雰囲気を感じたと、
私に言った生徒がいるが、その言葉が的を射ている表現である。なかなか緊張
感のある楽しい授業であった。シラバスの授業反省記録(2003年度)が残って
いるので、記しておく。
<文系シラバス1>
「生徒は、意欲的に授業に取り組み、授業態度・反応もよく、多少緊張感を伴う
楽しくわかりやすい授業がほぼ達成できたと評価している。この点で、生徒との
温度差は少ないとアンケートの結果から感じている。満足できない点は、
このレベルの生徒でも家庭での学習が不足していることである。前期は教科書を
中心に速く正確に読むことを目標に、文章の概要を段落ごとに把握することに
力点を置き授業を進めた。そのための補助としてプリントを作成し予習に活用
させた。授業では、語彙・構文・語法・文法などを必要に応じて説明し、仕上
げに音読をした。楽しく授業ができたとの印象が強い。後期はセンター対策の
授業が中心になったと言える。そのために予習を前提とした授業スタイルも変え、
演習的な授業になった。テーマによっては余談として個人的な持論も伝えた。
生徒は時には真剣に耳を傾けてくれ、話しやすい雰囲気であったことに感謝して
いる。」
<理系シラバス3>
「生徒は、家庭学習が不十分で、意欲的に授業に取り組んだとは評価できない。
授業態度・反応はアンケートの結果とほぼ一致していてプラスの評価60%は
妥当と評価している。しかし、75%以上の生徒が授業を受けるのが楽しく、
授業速度や質問にていねいに答えてくれるとの評価をしてくれている。前期は
教科書の精読に力点を置き、基礎・基本を大事にわかりやすい授業を心がけた。
生徒は余談として話したことを好意的に受け止めて、授業を受けるのが楽しい
との評価は嬉しいが、学力向上に結びついていないのが残念である。後期は
センター対策の授業が中心になったのは文系シラバス1と同じである。使用する
テキストのレベルの差はつけている。」