私たちが日常的に使っている言葉に、「ダメ」がある。

「そんなことしたらダメだといつも言っているでしょ」と母親に孫たちがよく

叱られている。孫たちは素直に聞かずによく反発しているが。

ダメは漢字で「駄目」と書き、囲碁が語原の言葉だと知られている。

広辞苑によると、①囲碁で、双方の境にあって、どちらの地にもならない空所。

②役に立たないこと。むだ。③してはいけないこと。

今日では、「無駄」(役に立たないこと)や「駄目」(してはいけないこと)

として定着している。

 囲碁は中国から仏教と共に伝来し、平安時代の僧や宮廷で盛んであった。

一般庶民に普及したのは江戸時代になってからである。時間も無制限だったが、

現代は持ち時間が制限されている。ネット碁では更に持ち時間が短い。

Time is money.(時は金なり)と言うことだろうか。スマホの普及で、短時間

でのゲームが好まれる。そのようなニーズに対応して開発されたのが、囲碁

クエストと言える。昨年、Eテレの囲碁フォーカスで紹介され、初心者から

プロ棋士まで行われている人気のアプリだ。

 私が囲碁クエストを始めてから3か月が過ぎた。9路盤(約4万人)から

13路盤(約2万6千人)へとシフトした。13路盤のほうが19路盤の感覚

に近いからだ。友のEさんも始めて、「時間が短くていい」と言っている。

私は中国ルールがわからなくて戸惑っていた。Eさんから説明を受け、ネット

でも調べた。ようやく理解できるようになった。理解しにくいのは「ダメ」と

アゲハマ(取り上げた石)の処理の計算だった。日本式では、①の空所を埋め

(ダメ詰め)てから、地所を計算するが、アゲハマは相手の地所の中に入れ、

整地して計算する。

19路盤のネット碁(日本式)では、終局の処理が自動的に行なわれるので、

ダメ詰めの必要がなく、双方の「パス」で終局となり、アゲハマを含めて自動

的に計算される。

中国ルールだと終局が異なる。「空所+盤上の石の数の合計」で計算され、

アゲハマは関係なくなる。Eさんから「白が81で持碁(引き分け)」と聞き、

検証してみた。囲碁クエストでは、黒番7目のコミ(ハンデ)がある。通常の

日本式の碁は6目半になっており、持碁はない。

中国ルールの計算の仕方は、13×13=169。コミの7を引くと162

なり、2で割ると81になる。この81が勝敗の分岐点になる。9路盤では

37だ。囲碁クエストも双方のパスで終局となり、自動的に計算される。

注意点は、自分の手番で「ダメ」を残してパスし、相手にダメを打たれると、

損をすることになること、自陣の中に手を入れても損にはならないので、

はっきりと自陣の「死に石」を取り上げたほうが計算上もわかりやすいという

ことになる。囲碁では、「ダメ詰まり」に注意しないと逆転するケースが多い。

それこそ「死活問題」だ。

 蛇足ながら、素人、玄人の語源も囲碁にある。ともに白と黒に由来する。

もともとは、強い人(上手)が黒を持っていたからだ。現代の囲碁では逆の

解釈になり、先手の黒番が有利であるためにコミがある。置き碁では、上手

が白を持つ。言葉の使い方も時代と共に変化する。