19日、集団的自衛権の行使を限定的に容認する安全保障関連法が成立

した。法案を国会に提出した5月15日から約4カ月が経過した。

安倍晋三首相は「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であ

り、戦争を未然に防ぐためのものだ。平和な日本に必要な法的基盤が整備さ

れた」と表明。報道各社の世論調査で、依然として反対論が根強いことを踏

まえ「国民に誠実に、粘り強く説明を行っていく」と指摘。その上で「今後

も積極的な平和外交を推進し、万が一の備えに万全を期していきたい」と

語った。
 
 参議院特別委員会での採決の見苦しい光景を、テレビメディアを通じて

見た。国会における恒例であるが、あまりにもお粗末としか言いようがない。

参議院は「良識の府」との言葉がむなしいと感じるのは私だけであろうか。

国会周辺及び全国各地のデモ及び集会がこれほど高まったことはないのでは

ないか。今回の参加者は、共産党や民主党の支持者だけではない。無党派の

人たち、学生、若者、主婦、年配者の人たちが参加していることが特徴と言

える。メディアによって報道の仕方が違うが、政治的無関心な人たちにも波

紋を広げているように感じる。安保法案によって、国民の中に戦争への不安

が生じたことを否定することはできない。国民の理解が進まないまま、国

の針路を決めるような大事な法律を無理矢理通すことが民主主義国家であろ

うかと疑問に感じざるを得ない。

安保法案は、自衛隊法改正案など10の法律改正案を一つにまとめた

「平和安全法制整備法案」と新法の「国際平和支援法案」からなる。この

11本の法案をまとめて審議すること自体に無理があり、審議すればするほ

どわかりにくくなっていると感じた。

 衆議院憲法審査会で与党推薦の長谷部恭男教授の発言「安保法制は違憲」

から憲法違反との声が高まった。憲法学者の多くは違憲、国際政治学者

多くは合憲の範囲との判断で分かれた。国際政治学者は、日米同盟の強化に

よる抑止力の必要性があるとの見方だ。憲法の原理的解釈からすれば、違憲

となると思うが。内閣法制局の72年解釈によれば、個別的自衛権は合憲で、

集団的自衛権の行使はできないとしてきたが、限定的集団自衛権は合憲と

解釈を変更している。私は解釈の限界点だと思っているが、9条の改正には

反対の立場である。

本日(21日)付の毎日新聞のコラム「風知草」の山田孝男氏は、憲法解釈

の戦後史との記事を書いている。「安全保障関連法の成立は国防政策の重大な

岐路には違いないが、戦争放棄、戦力不保持を定める憲法九条の、戦後最大の

解釈変更は、自衛隊の創設(1954年)である。」と記す。

私は、学生時代に自衛隊の存在について、違憲ではないかと考えていたように

記憶している。現在は、自衛隊の存在及び活動を認めている。

憲法制定当時の吉田茂首相は、「9条は自衛戦争も放棄したもの」と公言して

いた。憲法解釈の変更は、1950年に始まった朝鮮戦争の背景があった。

1950年、警察予備隊が発足。

1952年、保安隊へ。

1953年 (朝鮮戦争休戦)

1954年 自衛隊(16万人)がスタート。

1945年-1989年 米ソによる東西冷戦。

1990年 イラクによるクエート侵攻。

1991年 湾岸戦争(国際連合が多国籍軍を派遣)。

1992年 国連平和維持活動(PKO)協力法の成立。

1999年 周辺事態法の成立。

2001年 米同時多発多発テロ(9・11)。

2003年 武力攻撃事態法など有事法制の整備。

2003年 自衛隊のイラク派遣。

2001年ー2010年 自衛隊のインド洋派遣。

今回の安全保障関連法の成立によって、自衛隊の活動範囲と任務が拡大された

ことは事実である。日本の自衛力強化が与党の言い分であるが、アメリカの

戦争に巻き込まれれる不安が国民の間に増大したことも事実と理解する。

共産党、民主党などの野党が、対案を出さずに「戦争法案」、「憲法違反」

との政治闘争に終始したことは残念と言わざるを得ない。特に民主党は、

2009年9月から2012年12月までの3年3ヶ月政権を担当した

政党である。右派から左派まで混在し、決められない政権として、国民から

の信頼を失った過去がある。

山田孝男氏は、「安保法案が政治闘争に変質した責任の一端は政府・与党の

提案のしかたのまずさ、10月以降に持ち越したくない思惑、首相のヤジ、

一部自民党議員の低劣な言動にあるが、複雑な課題を「立憲主義、民主主義

の危機」と単純化し、政治の劇場化を進めた野党にも共感できない。残念な

国会だった。」記している。私もこの意見に同感である。

この安保法制が抑止力として機能するのか、戦争へのリスクが高まるのか、

将来への課題を残していると私は感じている。

与党・政府は、国際問題の解決には、徹底的に「外交努力」を尽くすべきだ。

政府への最大の「歯止め」は国民の政治への「監視」であると考える。

「選挙権」が18歳に引き下げられ、来年の参議院選挙から実施される。

政治に関心を持ち、情報を整理し自ら考えて「投票行動」をしてほしい。

メディアは事実に基づいた「公正な報道」をすべきであり、世論に与える

影響力の大きさと責任の重さを自覚することを切望する。