戦後70年の終戦の日を迎えた。戦後に生まれた私のような団塊の世代も直接的戦争体験

をしていないが、次世代に戦争の悲惨さや残酷さを伝えて行く責任がある。

昨日、安倍首相が閣議決定をして談話を発表した。今年の首相談話ほど世界的に注目された

談話はないだろう。

戦後50年の村山富市首相談話のキーワードが焦点になっていた。村山談話の中核的部分を

引用しておく。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民

を存亡の危機に陥れ、『植民地支配』と『侵略』によって、多くの国々、とりわけアジア諸国

の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、

疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて『痛切な反省』の意を表

し、『心からのおわびの気持ち』を表明いたします。」私は、この談話の歴史認識を支持する。

 終戦の日にあたって、毎日新聞の主筆の伊藤芳明氏の記事の一部を引用する。

「終戦の日以来70年。米ソが対峙する冷戦体制は1989年に終結し、米国の一極支配に移行

した。21世紀に入ると米国の影響力の低下と中国の台頭が顕著になるなど、国際環境はさま

ざまに変化した。この間、日本は民主主義を掲げ、平和国家の道を愚直に歩んできた。

焦土の中から復興を成し遂げた70年を過小評価すべきではないし、歴史上まれな復活モデル

を体現できたことは誇っていいだろう。毎日新聞をはじめ日本のメディアは、特に日中戦争から

太平洋戦争にかけ、時に軍部の圧力に屈し、あるいは世論に迎合し自ら進んで、偏狭なナショナ

リズムをあおる報道を展開した痛恨の過去を背負っている。この反省に立ち、健全な民主主義

社会の実現に貢献しようと努めてきた。」とある。メディアとしての自戒を込めた反省を記した

ことを評価したい。メディアの責任と役割は実に重いと考える。事実に基づく公正な報道を望

む。

 安倍首相談話の「歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならない」との考え

には同意する。しかし、安倍首相の歴史認識の本音の部分には、疑問を感じざるを得ない。

日本が戦争を起こした原因を「経済のブロック化」との言葉で片付けていいのだろうか。

大きな要因であったことを否定するつもりはないが、日本にも帝国主義による植民地支配の

底流があったが故ではないだろうか。私は歴史の素人であるが、本質的には、明治時代以来

の「神国思想」崇拝に根ざした「軍国主義」にあるように感じている。

 首相談話の中で、「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。

歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、

夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、

ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

 これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。 事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や

行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から

永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。

 先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り

上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。

七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、

この不動の方針を、これからも貫いてまいります。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ち

を表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ

東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史

を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。」と表現している。

私は、国民の理解と信頼を得られる政権となるよう努力することを願うと共に、世界の平和に

貢献する日本でありたいと思う。