グローバル化した世界の動きを知りたいと思っている。書店で、「イスラム国」が目につき買った本である。私の関心の一つは、中東問題である。紛争が絶えない地域で、世界の火薬庫と言われているが、石油の生産地域であり、日本が約8割の原油を依存している。原油価格の動向が、日本経済及び私たちの生活に直接影響を与えている。「イスラム国」と称する過激派テロ組織が勢力を伸ばしている。「アラブの春」(2011年)で民主化の流れが期待されたが、シリア内戦で、イラク国内の小さな過激組織が、シリア内戦に参加したことで、強大な軍事力を持つ組織に発展し、イラク国内で勢力を増大させているのが、「イスラム国」と池上氏は書いている。「イラク・シリアのイスラム国」が当初の名称で、イラクとシリアにイスラム原理主義の国を打ち立てようという勢力だ。ISIS(Islamic State of Iraq and al-Sham)はアルカイダから破門された過激派。その指導者バグダディが一方的に建国宣言を行った「イスラム国」はテロを行い残虐行為をするだけでなく、国家をつくろうとしている。背景に「アラブの春」がある。「アラブの春」は北アフリカ・中東地域の独裁政権に対する民主化運動として始った。チュニジアのベンアリ大統領が国外逃亡したのが2011年1月、すぐにエジプトに飛び火して2月にはムバラク大統領が辞任。さらにリビア、イエメンと次々に飛び火して、シリアにも火の粉が飛んできた。シリアはアサド政権という独裁政権で、それに対して民主化を求める人たちが立ち上がった。アサド大統領はシーア派系で、国内では少数派。多数派のスンニ派を抑え込む形になり、反対勢力を殺害する恐怖政治体制を引き継いだ。シリア政府軍の兵士たちが武器を持ったまま政府軍を離れて、「自由シリア軍」を結成して、アサド政権と戦うようになり、内戦状態になった。反政府勢力はスンニ派が中心。同じスンニ派のサウジアラビアとカタールが大量の武器や資金を投入して反政府勢力を支援。「イスラム国」はシリアに入り、反政府軍と一緒にアサド政権と戦い、反政府軍が勢力を伸ばすと、戦果を横取りし、反政府軍を攻撃してその陣地を奪い取ってしまう。アサド政権と反政府軍の膠着状態をついて過激派勢力が入り、シリアの混乱に乗じて支配地域を獲得した「イスラム国」。戦いを繰り返すなかで軍事力も強化し、熟練した戦闘技術を身につけてイラクに戻った。「イスラム国」の特徴は、外国人戦闘員(推定4割)が多いことと残虐行為にあると池上氏は書いている。アメリカ軍がイラクから撤退する際に、イラク軍にプレセントした最新兵器を「イスラム国」は自分のものにした。残虐行為を支配拡大の一方で、各都市を占領した後、急にガソリンの値段を安くするなどして、地域の住民に喜ばれるようなこともしているようだ。
「イスラム国」の活動資金はどうなっているのか。資金の調達方法も過激で、イラクに進撃したとき、銀行を制圧し、とてつもないアメリカドルを奪い取った。油田も手に入れた。彼らが支配下に置いている油田は10か所以上と推定され、採れた原油販売による収入は1日当たり約2億円に上る可能性もあるという。「イスラム国」は世界のこれまでの過激派で、一番お金を持っており、その総資産額は約2000億円とも報道されている。
ここで注目されるのは隣国イランの動き。イランは民族的にはペルシャ人でアラブ人のイラクとは違う。イラン・イラク戦争(1980~88年)で、両国は戦争をしてきた。スンニ派の「イスラム国」に対して、イラク政府はシーア派主体、イランも同じシーア派なので、イランがイラク政府を助けてあげようかと言い出した。イラク政府はアメリカに助けを求め、アメリカ軍が急遽、空母を派遣、6月16日にペルシャ湾に入り、イラク北部への空爆を始めた。大きな流れとしてイランもアメリカもイラク政府を助けるために協力する動きになっている。イランではかつてイラン・イスラム革命(1979年)が起きて、イランは反米国家になった。2013年にイランがロウハニ大統領(穏健派)に交代して、アメリカとの関係を改善しようとの意図があるのではないか。
北部のイランやトルコの国境付近は少数民族のクルド自治区。クルド人はアラブ人とは違う民族で言葉も違うが、宗教は多くがイスラム教スンニ派。クルド自治区以外の北部や西部は、おおむねスンニ派、南の方はシーア派が大勢住む。アメリカが2003年にイラクを攻撃する前の時代、フセイン大統領は少数派のスンニ派で、フセイン後は、多数派のシーア派が政権を握った。これまでのイラク政府マリキ首相はシーア派だった。少数派のスンニ派は抑圧されたり、軽んじられ、不満がたまっていた。その不満がたまっているところに過激派勢力が出てきて、同じ、スンニ派で、しかも「マリキ政権を倒そう」と言ったから、支持がひろがり、マリキ首相は責任を取らされ辞任した。
北部のキルクークには大きな油田がある。その油田は政府軍が管理していた。過激派勢力が進撃してきて、政府軍の兵士たちはみんな逃げてしまった。この状況で、クルド人の部隊がキルクークを占領し、自分たちの資金源にした。これでまた対立の芽が出てきた。
クルド人と「イスラム国」との関係は大変悪い。クルド人は今のイラク政府の体制には協力してきた。その政府を倒そうすることに反対している。このように、イラク国内で宗派の違い、民族の違いで対立がある上、そこにトルコが出てきたり、イランやアメリカが出てきたりと、とてつもなく複雑な構図に今、イラクがなっている。
2014年8月、アメリカ軍は空爆を開始した。空爆は、イラク北部のシンジャールやクルド人自治区のアルビル、モスル郊外のダムなど。これに対して、「イスラム国」は、空爆への報復だとしてアメリカ人ジャーナリスト2人を処刑した。9月に入ってイギリス人も処刑した。日本人も人質になっている。彼らはヨーロッパが決めた過去の国境にとらわれず、自分たちの領土を広げると宣言している。西はスペインから東はインドまでの広大な土地を取り戻して一つの国にすること。それが当面の目標だということ。「イスラム国」の動きに目が離せないということだ。ともかく、テロ活動や戦闘による残虐行為によって、自分たちの国を作ろうとすることは、人道上的にも絶対に許されないことであり、今後の動向を注視していきたいと思う。
「イスラム国」の活動資金はどうなっているのか。資金の調達方法も過激で、イラクに進撃したとき、銀行を制圧し、とてつもないアメリカドルを奪い取った。油田も手に入れた。彼らが支配下に置いている油田は10か所以上と推定され、採れた原油販売による収入は1日当たり約2億円に上る可能性もあるという。「イスラム国」は世界のこれまでの過激派で、一番お金を持っており、その総資産額は約2000億円とも報道されている。
ここで注目されるのは隣国イランの動き。イランは民族的にはペルシャ人でアラブ人のイラクとは違う。イラン・イラク戦争(1980~88年)で、両国は戦争をしてきた。スンニ派の「イスラム国」に対して、イラク政府はシーア派主体、イランも同じシーア派なので、イランがイラク政府を助けてあげようかと言い出した。イラク政府はアメリカに助けを求め、アメリカ軍が急遽、空母を派遣、6月16日にペルシャ湾に入り、イラク北部への空爆を始めた。大きな流れとしてイランもアメリカもイラク政府を助けるために協力する動きになっている。イランではかつてイラン・イスラム革命(1979年)が起きて、イランは反米国家になった。2013年にイランがロウハニ大統領(穏健派)に交代して、アメリカとの関係を改善しようとの意図があるのではないか。
北部のイランやトルコの国境付近は少数民族のクルド自治区。クルド人はアラブ人とは違う民族で言葉も違うが、宗教は多くがイスラム教スンニ派。クルド自治区以外の北部や西部は、おおむねスンニ派、南の方はシーア派が大勢住む。アメリカが2003年にイラクを攻撃する前の時代、フセイン大統領は少数派のスンニ派で、フセイン後は、多数派のシーア派が政権を握った。これまでのイラク政府マリキ首相はシーア派だった。少数派のスンニ派は抑圧されたり、軽んじられ、不満がたまっていた。その不満がたまっているところに過激派勢力が出てきて、同じ、スンニ派で、しかも「マリキ政権を倒そう」と言ったから、支持がひろがり、マリキ首相は責任を取らされ辞任した。
北部のキルクークには大きな油田がある。その油田は政府軍が管理していた。過激派勢力が進撃してきて、政府軍の兵士たちはみんな逃げてしまった。この状況で、クルド人の部隊がキルクークを占領し、自分たちの資金源にした。これでまた対立の芽が出てきた。
クルド人と「イスラム国」との関係は大変悪い。クルド人は今のイラク政府の体制には協力してきた。その政府を倒そうすることに反対している。このように、イラク国内で宗派の違い、民族の違いで対立がある上、そこにトルコが出てきたり、イランやアメリカが出てきたりと、とてつもなく複雑な構図に今、イラクがなっている。
2014年8月、アメリカ軍は空爆を開始した。空爆は、イラク北部のシンジャールやクルド人自治区のアルビル、モスル郊外のダムなど。これに対して、「イスラム国」は、空爆への報復だとしてアメリカ人ジャーナリスト2人を処刑した。9月に入ってイギリス人も処刑した。日本人も人質になっている。彼らはヨーロッパが決めた過去の国境にとらわれず、自分たちの領土を広げると宣言している。西はスペインから東はインドまでの広大な土地を取り戻して一つの国にすること。それが当面の目標だということ。「イスラム国」の動きに目が離せないということだ。ともかく、テロ活動や戦闘による残虐行為によって、自分たちの国を作ろうとすることは、人道上的にも絶対に許されないことであり、今後の動向を注視していきたいと思う。