レッスンも終わりに近付き、いつものように机の消しゴムのカスを払い、
黒網のケースにシャーペンと色ペンを片付けようとする僕にウーシャは言った。
「英語自体や英語を習う事が目的にならないようにして下さい。」
手を止め顔を上げた僕に尋ねる。
「英語を勉強する目的は何ですか?」
「えっと、上手く話す事です」と当たり前のように答えると
「本当にそれが目的ですか?
何のために英語を使いますか。」
そう言われてハッと気付いた。
上手く話す事じゃない。
相手とコミュニケーションを取る事だ。
「そうです。目的を間違えないようにして下さい。
英語自体はあくまで手段です。
そう考えると、文法が間違っていても問題ないですね。
Youの好きなゴルフと一緒です。
クラブの見た目が悪いとか、ボールの色とか、ゲームには関係ない。
うまくやるのが目的、道具は手段。
コミュニケーション取るのが目的。英語は手段、です。」
「はい」もっともな事に改めて気付かされて、それしか言えなかった。
「ただ、目的を目指すためにはルールを守らなければ近付けません。
そのためのルールがクラブの使い方であり、英語で言う文法です。」