脳動静脈奇形(AVM)闘病の備忘録 -6ページ目

脳動静脈奇形(AVM)闘病の備忘録

脳動静脈奇形破裂後の記録

今回はちょっと長くて理屈っぽいブログになりますので、興味なければスルーして頂ければと思います(^^;

 

脳動静脈奇形の病名を知った直後、これが指定難病でないことを初めて知ったとき、こんなに難しい病気が何故難病でないのか??むかっと感じたことを覚えています。

 

今思えばこの時はまだ勉強不足というか、指定難病制度をよくわかってませんでした。

当事者として言えることは、AVMが「難しい病気」であることは間違いないということ。破裂の恐怖や後遺症と必死に付き合っている人はたくさんいます(私だってその一人です)。

 

でも色々と調べていると、(少なくとも制度としては)「難しい病気」であることと「(指定)難病」は一緒ではないことがわかりました。

 

制度の是非は別として、なぜ脳動静脈奇形が指定難病に当たらないのか、考えてみました(医学は素人なので、間違った知識や私見が入っているかもしれません… その場合はご指摘頂けるとありがたいです)。

 

 

 

 

まず、指定難病制度の根拠法である「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)は、第1条にてその目的を定めると共に、難病を以下のように定義してます。

 

“第一条 この法律は、難病(発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう。以下同じ。)の患者に対する医療その他難病に関する施策(以下「難病の患者に対する医療等」という。)に関し必要な事項を定めることにより、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上を図り、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。”

 

 

 

また、難病法第5条が医療費助成対象となる「指定難病」を以下のように定義しています。

 

難病のうち、当該難病の患者数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達せず、かつ、当該難病の診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていることその他の厚生労働省令で定める要件を満たすものであって、当該難病の患者の置かれている状況からみて当該難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定するもの

 

 

つまり、指定難病の要件は

 

発病の機構が明らかでなく

治療方法が確立していない

希少な疾病であって

長期の療養を必要とするもの

患者数が本邦において一定の人数に達しないこと

客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

 

①~④は難病法上の「難病」の定義ですね。これに当たると、まず治療法のない病気としての研究対象になり、さらに⑤と⑥を満たして指定を受ければ、医療費補助の対象となります。

 

この辺については厚労省が難病対策の概要としてHP上で公表しています(ちなみにこのページには難病対策の経緯等も詳しく書いてあり勉強になります)。

 

そして、結論からいうと、AVMに関しては、開頭摘出手術か放射線治療(及びカテーテル手術)という治療法が確立されているので、②要件を満たさず、難病法上の「難病」には当たらないのではないか、というふうに私は理解しています。

 

(もちろん完治までに時間がかかる方、再発してしまう方、ガンマナイフを数回かけないといけない方、人それぞれ事情は異なるかもしれませんが、②の要件は理論上根治が可能かどうか、という意味ではないかと思います。)

 

 

実は、巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)という病気が指定難病になっているのですが、難病情報センターHP上に掲載されている同病気の病気の概要には、

 

“なお脳・脊髄といった中枢神経系が主体の動静脈奇形はそれ以外の部位とは診断・経過・治療法が異なっており、指定難病としては頚部顔面・四肢の巨大動静脈奇形を対象とする”

 

との説明がなされていて、やはり経過や治療法がポイントになるのかなと思いました。

 

 

 

とすれば、世間に訴えてこの制度自体をなんとか変えて、AVMを指定難病にしよう!という話もあり得ると思います。

それによって病気の知名度が上がったり、医療費補助も受けられるかもしれない期待のある反面、正直少し複雑な気持ちにもなってしまいます。

 

まず、AVMを例外的に指定難病にすることは、他の「難病」でない「難しい病気」を抱える方にとって不公平になってしまうし、逆に②の要件を無くすことによってAVMを指定難病にするとなると、自ずと他にも多くの「指定難病」が増え、治療法が未確立で継続的な治療を要する患者さん等、本当に必要なところにお金が行かなくなる可能性があるからです。

 

 

むしろ、少し話はズレますが、個人的意見としては、AVM破裂による脳出血患者を減らすという観点からは、AVMは先天性なのだから、小さい子供の段階で一律にMRIを義務付けて、発見次第片っ端から治療を行うという予防策をとる方が、難病か否かを論じるよりも根本的解決になる気がします(もちろん、MRIの費用の問題、小さい子供にMRIをかけることや、開頭ないし放射線治療を受けさせることの是非という問題はありますけどね…あせる)。

 

でも幸い脳動静脈奇形は小児慢性特定疾病の医療費助成の対象になっています。やはり子供のうちに見つけるのが良い気がします。

 

(大人と子供でこのような差を付けることは不思議ではありますが、よく考えてみると、小児慢性特定疾病の医療費助成の根拠法は児童福祉法で、その目的が「疾病児童等の健全な育成」(児童福祉法21条の5)にある以上、そもそも難病法とは別の目的を持った別の制度であることが理由なのかなと思います。)

 

 

 

と、ここまでとりあえず頭の中にあったことは吐き出せました笑

ところどころ間違いがあるかもしれませんが、仕事復帰前の暇なとき、ボーっとしながらこんなことも考えていたなぁという記録として、また指定難病について考えて頂くきっかけになればと思い、ブログとして残しておきたいと思います。

長い文章読んで頂きありがとうございましたニコニコ