映画「苦役列車」を観てきました。
西村賢太が芥川賞を取った私小説を基にした映画です。
原作は読んでいないのですが、
原作では前田敦子さんの演じた女性は出てこないようですね。
高良健吾さんの役ももっと後になってから出てくるんだとか。
「森山未来くんはこんなにかっこ悪くなれるわけ!?」とびっくりしました。
彼の演じる貫太は、中卒で日雇い人足で、酒好きで家賃滞納で、
ほんとかっこいいところがない(笑)。
中卒がかっこ悪いわけじゃなく、人足がかっこ悪いわけじゃなく、
そんな自分を卑屈に見ているところが情けなくてかっこ悪いんです。
酔ってても酔ってなくても「中卒で悪かったな」とか「中卒だと思って馬鹿にしてんだろ」と食ってかかる。
「いい気になんなよ」「お高くとまりやがって」なんて言って友達も失ってしまう。
確かに同情できる背景を持っているのは事実なのでしょう。
昭和42年に生まれ、昭和から平成になるころのバブルのなかで
社会の底辺を生きる彼には世の中の輝かしいものすべてが憎かったかもしれない。
けれど、だからってあんな風に生きるなんて、
救いようがないダメっぷりで・・・・・・。
そこがまた人間らしいのかもしれませんね。
高良健吾さんの着るジュンコ・コシノのシャツやつやつやの髪、
前田敦子さんの真面目なだけじゃない魅力的な真剣な表情、
そんな部分からもあの時代の人々の生き様が感じられて面白かったです。