ばたばたの日々を乗り越え休暇、
今からスウェーデンへ旅立ちます。

事前の情報で
オスローでの飛行機の乗り換えの
良くない噂を聞いていて、
今日中に無事ストックホルムにて
ロブ君と落ち合えるか、
ほんの少しばかり不安でありつつ笑

今日も含め10日間の日程、
ストックホルム、
ロブ君の駐在中のヴェクショー、
ホルガーのいるヨーテボリ
の3都市を回ってくる予定。

気がむいたら現地更新します。

という訳で、気をつけて行ってまいりますー。
やることは山ほどありつつ、
随分いろいろ落ち着いてきたこの1週間。

新しい学期が始まる直前ということで
新しい出会いもちらちらあったり。

この週末は大変天気が良く
夏っぽい雰囲気もこれでいよいよ最後かという雰囲気。
コペンハーゲンにいた某氏から届いた
デンマーク料理のデンマーク語のレシピに首を傾げたり、
バーデンで開かれてた某映画祭に参加したり、
湖畔でのバーベキューに参加したり、
ネットレンタルで映画を観たり、
そんな週末。


という訳で、今回みた映画は“Hable con ella (トーク・トゥ・ハー)”。
10年ほど前のスペインの映画です。

ヨーロッパの映画って
ヨーロッパに住んでいながらあんまり観てこなかったんです。
アメリカの映画の様な
分かりやすいストーリーテリングと演出に慣れ過ぎると、
「あれっ」とちょっとした違和感を感じてしまうようなところがあって、
なんとなく積極的には観てこなかったのかと。

その「あれっ」て違和感って
古臭い演出とか、洗練されていない編集とか、
そんなせいだと思い込んでいたのも事実。

でも、最近は
何でもかんでも簡単に割り切って
分かりやすく簡単に伝えてしまうもの(映画に限らずね)に
なんとなくうんざり気味な気持ちでいて。
エンターテイニングであるのももちろん大事やし、
分かりやすい表現のパワーって本当に強いし、
それを否定する気は全くなく、
というよりむしろそういうのも大変好きなんやけど。

そんなタイミングで観たこの映画。
ハリウッド的な要素とは対極の表現で、
やっぱり商業主義の観点からは
垢抜けない部分があるのは事実。

でも、
「いや、そのカット要らんのちゃうの」って
一瞬突っ込みを入れたくなるかと思いきや
(以前は実際そう突っ込んでいた)、
その表現の持つ懐の深さというか
そこから派生するねっとりと心に絡みつく密度感が
映画をとても芳醇にしていてね。

なんていうんでしょう、
ヨーロッパのダサさとかっこよさの紙一重のところが
かっこよさに転んだというか、
別に映画自体が「かっこいい」訳では全然ないけど、
心をぐぐっと引きつけるパワーに溢れてて
鑑賞後大きくため息をつかされたのでした。

経済第一に考えたら絶対にしないであろう休みの取り方とか、
良く言って臨機応変な
悪く言うと行き当たりばったりな問題解決の方法とか、
自分の言いたいことは言わなきゃしょうがないとか、
プロフェッションの定義とか、
しばらくの期間こちらに住んできてるからこそ
生々しく見える感じるポジティブ、ネガティブ両方の色々があって、
「ヨーロッパ的」って言うのが
最近自分の中のもやもやでして、
だからこそびびっと響いたのかと思うのです。


あー、全然言葉にならないや。
でも言葉にならないレベルでモヤモヤしてたなにかに
光を当ててくれたこの映画に感謝。
トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション [DVD]/日活
¥3,990
Amazon.co.jp
ばたばたながらもどちらかというと
地に足の着いた感じのこの1週間。
もう少ししたら仕事も大きな山を越えるので
あともう少しの辛抱。

2週間後、スウェーデンに旅に出るのを楽しみに
生きて行きますよ。

この週末は
サバ&クリストフェルとブランチ、
お客さん6名迎えてのチューリッヒ食堂の開店、
いろいろ家事、
集中してピアノの練習、
新しくチューリッヒに見えた日本人の方とお食事、
等々平和に充実して過ごしました。

――――――――――――――――――――――――――――

さて、書きかけの旅行記を続けますよ。
5月のイタリアでのハッピー週末の件。
終盤なのでまとめて書きます。
ので大変長くなるかと。
ここまでの歩みは例えばこちらをご参照→ がっつりハイキングの土曜日

5月27日(日)

例によって鳥の声で目覚めた朝。
天気はどんより気味でもしばらくしたら晴れてきそうな予感。

ロバートが起きるのを待ちつつ
お茶を淹れ、前日の晩に買っておいたパンを焼き、
読書タイムの贅沢な朝。

もそもそ朝食を食べつつ決めたこの日のメニューは、
・レヴァントからヴェルナッツァまで歩く
・リオマッジョーレでぷらぷら
・リオマッジョーレからマナローラまで歩く
・マナローラで素敵ディナー
ということに。

宿からレヴァントのハイキングコースのスタート地点まで、
特に地図を調べもせず
なんとなく勘に任せてふらふら歩き出発。
途中車が水たまりからはね上げた
水しぶきをもろに食らって悪態をついたりつつ。

 
レヴァントの街をハイキングコースに入ってしばらく後に見下ろしたところ。
湾に面する小さな町です。

ここから海岸沿いをひたすら歩きます↓

例によってアップダウンはかなりきつくて、
その上足元も結構悪いところもあって、
2時間くらいのそれなりにハードな道のり。

ちょうどお昼時に
途中の村モンテロッソに到着しランチ。
海岸で遊ぶ人々を横目に本場イタリアのフォカッチャ。
生地の底面をオーブンで焼く際にカリカリにしつつ、
それでも脂っこくはならない程度のオリーブオイルが絶妙。
大変旨し。
ロバートにほとんど強制的(笑)に注文させられ
頂いたベリーソースのタルトも中々の美味。

モンテロッソからヴェルナッツァまでの海岸沿いの道が
容赦ない登りが延々続いたりして
決して楽な道ではないのにもかかわらず、
観光ついでのにわかハイカーでごった返し、
中々大変な事になっておりました。

このエリアで目立ったのはイギリス人とアメリカ人。
きっと英語のメジャーなガイド本に
「ここ歩いとけ」みたいな事が書いてるんでしょうね。

混んでなかったらもっと快適で
本当に良いハイキングコースかと思います。
所要時間は2時間くらいだったか?
もはや記憶が曖昧ですが…。

そのハイキングコースの終盤に見えてくるのがこの風景↓
 
ヴェルナッツァの街を見下ろします。
これは本当にきれい。

ヴェルナッツァで
チンクエテッレ一番という噂のジェラート屋へ。
あっつい中散々歩いたあとのジェラートに勝るものはない。
ちなみに僕がイタリア語で注文してる横でロブ氏はスペイン語。
まあ、似てるから通じるんやけども。

海沿いでジェラート食べたり
ロバートは絵葉書書いたり(やっぱドイツ人)だらだらした後、
電車を捕まえチンクエテッレの一番南の村リオマッジョーレへ。

 
歩き続けて良い具合に疲れた体を海風にさらしつつ
こんな海岸の家並みを眺めながら
食前のビールを飲んで他愛もない話しをしながら再びダラダラ。
リラックスして温かい気持ちで本当に本当に贅沢。

良い具合に酔っぱらいつつ腹をすかた後、
リオマッジョーレからマナローラまで歩きます。
この道がVia dell'Amore(愛の小道)なんて呼ばれてる
チンクエテッレのメインの観光名所の一つなんですが、
きっついけど絶景のハイキングコースをがつがつめぐった後には
なんかつまらなくって笑
期待もあっただけに拍子抜け。
写真もなし笑
いや、海の風景は間違いなく素晴らしかったんやけども…。

20分程でマナローラに到着。
ここからダメ元で、マナローラの崖の上に建つ、
チンクエテッレ全体の中でもとりわけ評判のいいレストランへ。

もちろんのこと全席予約が取られてたんやけど、
その中唯一21時からの予約のテーブルがあって、
21時までなら良いよって言われて
まさかのテーブルゲット!

こんなラッキーがあるのかとほくほくしながら頂いたのは
・チンクエテッレの地元の白ワイン
 やや辛めな中に奥の深いフルーツ感。
 決して軽くはないけど料理の邪魔をせずも主張も強すぎず
 大変上質なワイン。
・地場産白身魚のカルパッチョ
 油が良く乗ったとろりとした身(たぶんカジキ)が
 上質なオリーブオイルと合わさり、
 ねっとりと濃厚ながらも後味はこぎみ良くスッと引き美味。
・スカンピエビとアスパラガスのタリアテッレ
 クラッシュされた小ぶりのスカンピの出汁が芳醇。
 イタリアっぽい細身のアスパラガスの絶妙な歯ごたえと
 わざと短く切られたタリアテッレが絡まって、
 一口口に運ぶだけで笑顔に。スーパー美味。
・地場産白身魚の炭火グリル、グリル野菜添え
 ブリと良く似た油と身のテクスチャーの魚。
 炭火であぶられた香りをまとい
 味付けはほんの軽い塩のみ。
 素材の味を存分に引き出し、これもまた大変美味。
・なんかのケーキ/レモンのソルベ
 デザートはまあ普通。
といったラインナップ。

論文を書き終えた後の最初の週末、
非日常の大変素敵な旅先で、
イタリアのおおらかな雰囲気、
心地よい疲労感、
窓越しに沈む夕日、
漁師風のおじさんたちのとても感じの良い接客、
店内の雰囲気も良く周りのお客も行儀よく、
最高の、本当に最高のディナーを頂けば
普段言わないことも言えば
普段しない表情もするもので。
一生ものの思い出になる時間となりました。

ちなみにこちらがそのレストランのウェブサイト↓
Trattoria dal Billy


ディナーを終え帰りの電車を待ちながら
眺める夕暮れ時のマナローラの街。
更にビールを頂きつつ。

この後は寄り道せずまっすぐ宿へ帰宅。
宿にてスコットランドから僕が買ってきて
ロブ氏の誕生日ににあげたウィスキーを
ロブ氏が持ってきてて、
ピート臭のがつっと効いたそれをちびちびやりつつ
スイスに来る一大決心をしたのは間違いじゃなかったと
静かに熱く話し込み更けた夜。



5月28日(月)

朝からすきっと快晴。
前日までと変わらずゆったりとリラックスした朝食。
すこしダラダラしつつチェックアウト。

宿の支配人に海まで車で送ってもらってお別れ。
別れ際ロブ氏はまた来るかもって言ってたっけ。
うん、また来る価値ありますとも。

海ではまたもやダラダラ。
ロバートが一人で泳いでるのを見つつ
太陽を全身で浴び大の字で寝ます。
これまた本当に贅沢。

 
ひと泳ぎして満足のロブ氏。

1時間ほどダラダラしてから
帰りの電車で食べるものを八百屋とかパン屋で調達し
ビワを食べたことのないロブ氏のためにビワを探して買ったりね
朝の快晴が嘘のような土砂降りの雨が降り出したところで
電車に乗り込み、一路ミラノへ。


ミラノでの電車の乗り換えの1時間半の時間つぶし。
ドゥオモの前まで行って缶ビールをグびりとあおります。
果たしてこの旅行中どれだけビールを飲んだのか。。。

ミラノ発の電車は遅れもなく順調に
いろんな気持ちを抱えた我々を運び、
夕方過ぎ無事にチューリッヒに到着。
こうしてイタリアでのハッピー週末は終了。

紆余曲折あった後、
派手さは全くないけど
その分我々っぽい旅行を
色々手配してくれたロバートに改めて感謝。


という訳で長かったチンクエテッレの旅行記、終了です。