4年間で約250の選挙が無投票…議員「なり手不足」の特効薬は報酬アップか議会運営改善か【TSK】 | 投票率100%を目指して!! 市民活動「選挙に行こう会」

4年間で約250の選挙が無投票…議員「なり手不足」の特効薬は報酬アップか議会運営改善か【TSK】

4日に告示された智頭町長選挙と町議会議員の補欠選挙が無投票となった中、クローズアップされるのが地方議員の「なり手不足」です。全国的に地方議員の人材確保が課題となっている中、山陰の中山間地域では、議員報酬の引き上げに踏み切る自治体もあります。

島根県中部に位置する川本町。人口3000人余りの小さなこの町でも、2024年4月にに26年ぶりに議員報酬が引き上げられました。

安部大地記者:議員の担い手確保のため、川本町でも4月から議員報酬を約1割引き上げました。

川本町は、2024年4月の町議会議員選挙に合わせ、議員報酬をこれまでの21万円から11%増の23万3000円に引き上げました。町では、行財政改革の一環で、議員報酬を5%から20%カットしていた時期もあり、引き上げは1998年以来です。背景にあるのはやはり議員の「なり手不足」です。

川本町議会・植田昌平議長:若い人が出るためには、全て勤め人であれば、会社の理解がないと出てくれないのでは。その中で少しでも上げないと、やはり出てくれない。本当はもっともっと上げたい。でもそれは周りの給与水準もありますので、考慮した。

川本町議会は、定数9のうち、40代の1人を除き残る全員が60歳以上、加えて女性議員はゼロと、年代、性別にも偏りが出ています。議員報酬の引き上げで、働き盛りの現役世代や子育て世代なども議会に参画しやすい環境を整えたいとしています。

川本町議会・植田昌平議長:議会というのは、議論を戦わせる場所です。それにはいろいろな考えを持った多様な年代の方が、それなりの意見を持って出てきて議論する。多様な人材に議会に参画していただきたい」

こうした動きに町の人は。

町民:賛成です。もう少し上げても良いと思う。ある程度の報酬がないと本気でやってくれない。

中山間地域の議員報酬の引き上げは全国各地で見られ、島根県内でも邑南町議会が4月から23万3000円と約1割引き上げ、また美郷町議会は、議員の活動量などを踏まえて報酬を決める「原価方式」の導入を検討しています。

一方で、鳥取県の湯梨浜町議会は社会情勢などを考慮し、2024年4月からの引き上げを見送るなど、各地方議会で判断が分かれます。議員報酬の引き上げが、なり手不足解消の「特効薬」になるのか。町の人からは、他の取組みが必要だと指摘する声も出ています。

町民:今いる高齢の方(議員)でもいいと思う。若い人に意見を傾けてくれれば良いし、意見交換ができる場とか仕組みづくりの方が早いのでは。

議員のなり手不足は深刻で、全国町村議会議長会の調査によると、直近4年間の町村議会の選挙で27%にあたる254の選挙無投票。さらにこのうち31の選挙が、定数割れとなっています。地方議会の問題などに詳しい専門家は、議員のなり手不足は住民の不利益に直結するといいます。

慶應義塾大学法学部・谷口尚子教授:地方議員が減少したり、活性化しない、新たな人材が入ってくることがないとなかなか地域の問題に対する対応力が落ちる。

谷口教授は、人材確保のために議員報酬の引き上げとともに議会運営のあり方そのものを見直す必要があると指摘します。

慶應義塾大学法学部・谷口尚子教授:働きながら議会議員をやっていくような柔軟な議会運営、例えば、夜間とか、休日開催とか、オンラインで議論する場を増やすとか、忙しい方でも地方議員が活動できるような工夫を考える必要がある。

私たちにとって「最も身近な政治家」ともいえる地方議員。なり手不足解消の対策が急務となっています。

山陰中央テレビ


議員報酬が低いこと以上に、落選したら無職になるリスクを考えると安易に議員になろうとは誰も思いません。

谷口尚子教授が言われるように、働きながら議員をやって議会を夜間や休日に開催したり、オンラインで議会が出来るようにすべきです。