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予算のムダを斬れ! 「行政レビュー」の効果と限界[政界Web]【時事通信】

前身は「仕分け」

政府の「行政事業レビュー」という取り組みをご存じだろうか。ニュースで取り上げられることはそう多くないが、国民の納めた税金が無駄なく使われているか外部有識者の目を入れながらチェックし、改善を促す重要な作業だ。毎年度、春から冬にかけて続いていくプロセスをたどり、その意義や課題を探った。(時事通信政治部 三谷大知)

行政事業レビューの始まりは15年近く前、2009年9月の民主党政権発足にさかのぼる。衆院選公約を最初に反映させる10年度予算が大きく膨らむ見通しとなったことを受け、財源を捻出しようと「事業仕分け」をスタートさせた。

仕分け人」に選ばれた国会議員らが「政治主導」の名の下に各省庁の担当者を厳しくただし、各事業の「廃止」や「予算縮減」などを判断したあれだ。世界一を目指すとした次世代スーパーコンピューターを巡り「2位じゃ駄目なんですか」とたたみ掛けた蓮舫氏の発言は特に注目を集め、事業仕分けは09年の新語・流行語大賞にノミネートされた。

仕分けは当初想定していた予算の無駄削減を達成できなかった。そして民主党は12年12月の衆院選で下野。しかし、積極財政を柱の一つにアベノミクスを掲げた第2次安倍政権は、民主党政権と同様に予算の膨張が見込まれていた。結局、「いいものは引き継ぐ」として継承を決定。徐々に現在の行政事業レビューの姿が整っていった。

ハイライトの「秋の陣」

レビューの1年はどんなものか。

まず、新年度に入った4月から6月ごろにかけ、各省庁自身が前年度の事業に関して当初の目標・目的、予算額と執行額、実績などを記入したシートを作成する。対象は約5000事業に上る。

次に、この自己点検シートを省庁ごとに選ばれた外部の有識者がチェック。その結果を8月末に締め切られる翌年度予算の概算要求に反映させる。

その上で、内閣官房行政改革推進本部事務局が点検の内容や結果の妥当性を精査。予算規模の大きな事業や問題含みの事業など10前後を取り上げ、例年11月に行政改革推進会議の下で「秋のレビュー」と呼ばれる公開検証を実施する。これはインターネットで中継され、一連のレビューのプロセスでハイライトとなる。

レビューの結果は12月に決定する予算案に生かす仕組み。今年度の行政事業レビューに参加したある有識者は「民主党政権の事業仕分けは財源を生み出すために行った。今は事業を改善するために実施している」と解説する。

一刀両断

今年度の秋のレビューは昨年11月11、12の両日、東京・永田町の政府合同庁舎8号館で開催された。主なテーマは、不正受給が相次いだ新型コロナウイルス対策の助成金と、16兆円を超える残高が問題視された国の基金だ。

「現在の財政状況を踏まえると、限られた資源をいかに有効に使っていくか考えないといけない」。正面に陣取った河野太郎行政改革担当相がこう訴え、幕が開いた。

会場には緊迫感が漂う。省庁の担当者による説明が終わると、有識者から矢継ぎ早に追及の声が飛ぶ。受け答えと次の質問の間はわずか2、3秒。こうしたやりとりが一つのテーマにつき30分前後続いた。

「相当厳しく事前審査をし、きちんと四半期ごとにモニタリングしていかなければ、有権者や納税者の納得を到底得られない」。有識者が中小企業の再構築事業をこう一刀両断にする場面もあった。

コロナ関連の持続化給付金については、業務の委託外部発注を「9次請け」まで行っていたケースがやり玉に上がり、「不透明だ」との批判が出た。河野氏はレビュー終了後の記者会見で、全ての基金を見直しの対象にすると宣言した。

有識者の一人は「行政内部の評価には限界がある。外部の意見を取り入れるのが秋のレビューの意義だ」と語る。

盛り上がりは担当相次第

では、行政事業レビューに課題はないのか。

秋のレビューは有識者から厳しい意見が相次ぐが、民主党時代の事業仕分けと異なり、「廃止」や「予算縮減」といった判断は下さない。つまり、改善の方向性を指し示すにとどまり、基本的に政府の予算編成の中で決定される。

秋のレビューで扱うのは、5000ほどの全事業のうちごくわずか。しかも、現職の行革担当相の個人的な関心が反映されるケースが散見される。16~17年に務めた山本幸三氏はアベノミクスの旗振り役。レビューも「アベノミクスを後押しする事業」の効果点検に力点を置いた。

現在の河野氏は安倍内閣、菅内閣の時に続いて3度目の行革担当相。一貫して「無駄の排除」や「行政の効率化」を重視している。自民党内には、秋のレビューが「突破力」を売りにする河野氏の「存在感アピールの場になっている」(閣僚経験者)との見方もある。

「担当相が誰かによってアクセントも盛り上がり方も変わる」。政府関係者はこう認めている。


主権者である我々国民が政治に無知・無関心である事で、「行政レビュー」はただ単にパフォーマンスだけで終わっていると思います。

まずは我々国民自身が払った税金の使い道を吟味する事でしか税金の無駄使いを裁く事が出来ませんので、皆さん、政治を学びましょう。