試写会で観た時には気持ちがとっ散らかってはっきり聞き取れなかったり見落としていたりした部分があったけれど。
一度通った道は容易い。
目的地はわかっているから、安心してあちこちよそ見をしたり、集中したり出来るようになりました。
事前に原作を読んでいたのは一長一短。
バックグラウンドにあるわかりにくいものの理解の手伝いにはなるけれど、今作のように原作にない部分とか想像から大きく離れている部分が多いと今の自分の脳ミソでは瞬時に処理出来ないからあたふたしちゃったのかな~。
ここからネタバレを含みます。
小説よりも味付けが濃くて、役も増えてて、それらをパパパッと重ねて差し込まれていくのですべてになかなかついていくのはたいへん

恥ずかしながら何度か観ているうちに、ひとつのところに食いついていると回りを見落としてしまって理解しきれずにいたところがようやくわかった次第。
ほら、あのシーンも足の位置とかさ。そこに至るまでの経緯を暴走する妄想と、語られている音声と切り替わる場面の目で見て得られる情報と、ごっちゃになってしまってほんとついていけなかったの

他にもね。小田島弁護士の事務所で 出されてた涼しげな水色の飲物は何なんだろう? てか、その横にある木馬?は何なの?? そもそもこういうところが弁護士事務所ってアリなの? え、やっしー、さっきからほとんど音声無しのダイジェスト映像のみなんだけど??
で、え? もうここまできて白川出て来ちゃって、エエとこどりされて終わっちゃってるのぉ??
小田島弁護士事務所でのお芝居、是非とも特典Discに収録して頂くこと熱望します。
正直インパール作戦とか自分知識が足りないところもあったけれど、そういったことについてこの映画を通して知り、考えることが出来たというのは監督の狙いのひとつではあったのかな。
演技については言葉では語り尽くせない。
キャスティングも、演技そのものも、演技することを楽しんでいる雰囲気も、その仕事をしているということすらも、全部ひっくるめてこっちを揺さぶってくる。
あたふたした自分も
お芝居も含めて。
何度でも観られる。
何度でも観たい。
ひっかかってくる場所や
謎な部分を拾って眺めたい。
そう思う。
ラストシーンを観てからまたオープニングを観ると繋がっている。
たしかに。
そうやってまた観てしまう。
オープニングの背景に使われている写真もそうなんだけど、この映画の中にはどこか繋がっていながら反転しているものとか、逆に進んでいくものが散りばめられていて。
最後の別荘のシーンで階段を下りて出ていく沖野を見て階段を上がって行く最上。とかね。
沖野が別荘に向かう途中、林の縁に生い茂ってたミズヒキ。
ぼやけた写真でわかりにくいけれど、
ミズヒキの長い花穂は上から見ると紅。
しかし下から見ると白。
熨斗袋など結ばれている紅白の水引から名付けられているところからだろうけれど花言葉も「慶事」・「祭礼」・「寿」
そしてもひとつ「虚勢」
ミズヒキが咲いていたのはあくまで時期的なのでたまたまのものなんだろうけれど、そんなところまで反転を暗示しているようにも感じる。
また、行きます。
スッキリしない映画なんだけど、だからこそ何度も観たくなる。
そして何よりも、にのの演技を何度でも。