今年のしし座流星群は曇天で見えませんでした。
原作では、事件当日は見えなかったんだけど、ドラマでは雨がやんで見えていました。
原作は原作、ドラマはドラマ。アレンジされて作り上げられます。
東野圭吾ミステリー「流星の絆」。
ドラマの後、いつ原作を読もうかすごく迷っていたけど、結局この春文庫化されるまで我慢してました。
原作を読んで、まず思ったこと。「クドカンすごい!」「ドラマってすごい!」
このストーリーを、この原作の内容を、よくあのドラマのかたちにしてくれました。
けっして原作が物足りなかったわけではありません。
思っていた以上に原作に忠実なドラマだったことに驚かされました。
原作の持つ魅力、プラス役者とTVというツールを最大限に生かしたドラマになっていたと思います。
身体を休めるためにひさしぶりに家に引きこもって「流星の絆」のDVDを観てました。
やはり、すごい。二宮くんの演技。
今回観ていて自覚したのはこのドラマで完全に「二宮くん」が私の心から離れなくなったんだ、ということ。
それまでも二宮くんが出るドラマはほとんど観ていたのですがこの「おにい」にやられちゃってからです。
どんどん、思い出す。
そう、このドラマをどれだけ毎週楽しみにしていたことか。
「大人ンなったら犯人さがしてさ、三人でぶっ殺そうな。」という衝撃的なオープニングの台詞。
時間が交錯する構成とか、こども時代の三兄妹と成長した彼らと入れ替わって言う台詞のせつなさに涙したこととか。
二宮くんはもちろん戸田恵梨香ちゃんも亮くんも好きだし、観ていて目の保養になる。でもそれ以上に話に引き込まれてしまう。
木更津キャッツアイの「表・裏」構成を思い出させる劇中劇。おもしろすぎるやろ。
二宮くんのかわいそ村の村長(´・ω・`)な表情や、コミカルなやりとりで見せる笑顔も、眉間に皺を寄せて考え込む表情も。なめらかな台詞まわしもその声も。
台詞の内容だけじゃなくて言い回しでぎゅっと心がしめつけられた、静奈が血のつながりのない妹であることが思いがけずバレてしまった後のシーンの台詞。
「ああ。……最っっ悪だょ…。」
そして7話のラストは何度観ても凄すぎる。
妹・静奈が仇の息子を好きになっていることでの弟・泰輔とのやりとり。
「いいのかよ、兄貴、…」の台詞にかぶせての「いいわけねぇだろっ!」の一喝。
あのタイミング。その前のやりとりから体勢も変えずに表情も抑えていたところへの激昂のひと言。
そしてその後の沈黙と思考を巡らせる表情。
これですわ…。この演技の呼吸。
泣きましたわ。このひと言で。
苦しくって苦しくって。
三谷アニキの回の「しやがれ」での「何様だっ!」もそうだったけど、抑えたところから感情の迸る台詞。
そこに入るタイミングというか、反射神経とか瞬発力というか。
ほんと、天才だと思います。
最終回での台詞の数々も、動きも、ひとつひとつが重さと鋭さを感じさせてくれて、こちらのカラダが緊張で硬くなるくらい。今回観直していてもすごいなぁ~って思いました。
原作では犯人の結末がまた違ったものになってますけど、ドラマの結末に心の救いを感じます。
三兄妹が揃った笑顔のラストシーンもうれしかった。
悲しみ、苦しみ、せつなさ、やさしさ。そんな感情がぐるぐると巡るドラマでした。
ドラマのストーリー、内容、脚本、演出、もちろんキャスト。
素晴らしかったです。
そしてこの作品が「二宮くん」から「にの」に進むひとつの大きなステップだったんだな。私にとって。
それまでも「好き」だったけど、知らないうちに「恋」に落ちてた、そんな感じです。
次はどんな演技を見せてくれるんだろう。
また、役者二宮和也の新たな演技をそろそろ見せてもらいたいです。