『爆速経営 新生ヤフーの500日/蝦谷 敏 著』を読んだ。レビュープラス
本の帯にはこうある。
「201X年までに営業利益2倍。その目標に高速を超えた爆速で挑む。
社長打診は突然だった。一瞬ひるんだ宮坂だったが、巨大組織の舵取りの決意を決めた。
高収益だがつまらない会社。そんなヤフーを変えた若き経営陣の改革の軌跡。」
ジャンルとしてはビジネス書にカテゴライズされる本書を読んでいる間、ずっと戦国武将の歴史物を読んでいるような気がしていた。これは多くの日本のビジネス書に通底するのではないかと思う。
現代のビジネスマンと戦国武将たちを重ね合わせることはこの国ではたぶん普通なのだろう。
もちろんこれはおれの勝手な印象に過ぎない。あるいはこうしたビジネス書に対する先入観がおれにあるのかもしれない。
Amazonの商品詳細ページの一部を抜粋してみよう。そこにはこうある。
「本書は、日経ビジネスの記者が2012年4月から約1年半にわたって取材を続けてきた、
新生ヤフーの改革を追った記録である。なぜ宮坂がヤフーの改革を任されるようになったのか。
その理由については、ぜひ本書を読み進めていただきたい。
恐らく、ヤフーが直面した問題は企業組織が規模を拡大させていくうえで常に内在し得る構造問題である。
そして、それにどう向き合い、どう回避しようとしているかという過程を辿っていく作業は、
同様の問題に悩む企業に多くの示唆を与えるだろう。」
おれは「明日から社長をやってくれないか」と言われたこともないし、一生、そうしたオファーもないだろう。
と、ここまで書いて、「そうか、おれは社長をやってくれというオファーとは永遠に無縁なのか…」とあらためて気づき、3秒くらいブルーになったが、すぐに立ち直った。
おれにはそんな妄想でブルーになっているヒマはないからだ。レビューだ。レビューに戻ろう。
…それでは、本書は今後一生社長打診と無縁なおれとそしてあなたにとって読む価値などないのか。
価値はあるのだ。それがどのような本であっても必ず読む価値はある。あなたが見出す気さえあればの話だが。
そういうわけで、本書は人生を今より充実するにはどうしたらいいのかということのヒントが散りばめられた「参考書」であるとおれは言ってみる。
そして、おれはページをめくる。
ここには、閉塞状況から脱却するにはどうすればいいかが示されている。
ここには、官僚主義の弊害が示されている。
ここには、理念の欠如が競争を生むのだと示されている。
ここには、「民主主義は時間がかかる」という言説がある種の迷信であることが示されている。

