今日は春のような陽気だった。
息子と2人で野毛山動物園に行ってきた。
ゲートをくぐると放し飼いの孔雀たちが迎えてくれる。
息子がまだ赤ん坊の頃、何度か来たのだが、当の息子はあまり覚えていないようなので、今回あらためて訪れることにした。
何より、入園無料というのがいい。
檻の中の動物たちは、歓声を上げる子供たちには関心がない様子だ。
毎日、人の視線に晒されるのにうんざりしているのかもしれない。
それにしても、横浜の中心地みなとみらいの近くにこうした動物園があるというのも考えてみればすごいことだ。
一番印象に残ったのは、写真には取り忘れたが、イグアナだった。
じっと見ていると、蛇や亀や鰐たちとは一線を画している。
どこか哲学的な風貌で、人間の視線など意に介さない。逆にガラス越しに人間どもを観察している、そんな気がしてくる。
人はなぜ動物園を作ったのだろうか。
お前はなぜ私を見ているのだ。
そんなことを思いながらイグアナを見つめていると、おれがイグアナに問いかけたのかそれともイグアナに問いかけられたのかだんだん曖昧になってくる。
人はなぜ動物園に行くのだろうか。
動物たちを見に行っているつもりで、実は彼らの区別なき視線に射抜かれるために訪れるのかもしれない。
来る日も来る日も、カネがあるとかないとか、学歴があるとかないとか、仕事ができるとかできないとかと、とかく区別したがる視線で見つめ見つめられてばかりの曇った生活を一瞬でも忘れさせてくれる動物たちの等価の眼差しに裸の自分を映しに行くのかもしれない。
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