進化する教育 (大前研一通信特別保存版 PARTVI)【電子書籍版】
今回は、PC/スマホ、タブレット端末で購読可能な電子書籍版ということで、iPhoneに専用アプリをDLしたのだが、このアプリがいまひとつ使い勝手がよくなかった。なぜこのようなアプリを入れないと読めないようにするのかはよく分からないが、きっとおれには理解できない狙いがあるのかもしれない。
それはそれとして、これはどのような書籍なのかとまず簡単に説明すると、大前研一氏の考える21世紀の教育論とその実践として立ち上げたBBT大学というオンライン大学の紹介である。
大前氏は、今のような教育では、一定以上の価値を持つことのできる人材は育たないという。
これまでの学習指導要領に沿った教育は20世紀の工業化社会においては必要だったかもしれないが、21世紀においても続けることは最早、愚行であると切り捨てる。
教育ではなく、調教であるという。
「社畜」という言葉が頭を過り、それに連動したように「リストラ」「ブラック企業」「過労死」「無縁社会」などといった言葉が浮かんでは消える。
我々日本人の多くがずっと、教育ではなく調教されていたとするなら、やがてこうした結末が到来するのも必然であったのかもしれない。
調教とは何か。MacのSpotlightの国語辞典を検索すると、
『ちょう‐きょう【調教】テウケウ
〘名〙スル動物を目的に応じて訓練すること。「盲導犬として—する」「—師」』
…と、ある。これは人間ではなく、動物に対する言葉である。人間に対して使う場合は、一般的にはSMの世界でしか用いない。(SMで一般的というのもどうかと思うが…)
いずれにせよ、調教とは主体性/個性を奪うことで成立するようだ。
そう考えると、学校ってそういうとこってあったなと思い、少しだけ複雑な気持ちになりつつ、尾崎豊の「卒業」が脳内BGMで流れ出す。
…と、ここでおれは我に返り、レビューのことを思い出す。
大前氏が言う教育とは何か。もちろんそれは、調教とは対極にある人材を育てることだ。だからと言って、sadistを養成するわけでは、もちろんない。
「自分で物事を見て分析し、考え、構築でき、また新しいものを構想し、それを事実として生み出していける人材」を育てようと言うのだ。(ビジネスインパクトのある人材というらしい)
才能よりも、情熱に裏付けられた持続力、破壊力を持った人材を実際に自ら大学/大学院を立ち上げて育成しようと言うのだ。しかもその大学はキャンパスを持たず、すべてオンラインで運営することで、物理的制約を受けない自由を獲得している。こうしたデジタル講義自体は今ではそう珍しいものではないが、文科省の認可を受けているというところが「売り」のひとつなのだろう。同時にそれが引っかかるところでもあるのだが。
大前氏の理念は、素晴らしいと思うし、その理念には概ね賛同したいが、文科省の作成する学習指導要領に異を唱えつつ、なぜその文科省の認可を受ける必要があったのかは、おれには分からない。
もちろんそれとプログラムの内容は関係ないとは思う。実際多くの現役のビジネスマンが入学して自己実現に向けて切磋琢磨しているという。ただ、日本維新の会の橋本氏に対する高評価には戸惑うところではあるが、あなたが世界で通用する人物になりたいと多少なりとも思うのであれば、入学とは言わないまでも、本書の一読をお勧めする。
レビュープラス
進化する教育(DVD付) (大前研一通信特別保存版 PARTVI)/日販アイ・ピー・エス
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