悲劇は突然訪れる。
6年使ったMacBookのディスプレイに点滅するのは、クエスチョンマークだった。
おれの鼓動は、クエスチョンマークの点滅に同期するように脈打った。
すぐさま、手元のiPhoneでトラブルシューティングを検索してみると、いくつか対応方法が掲載されている。
と、その前にやはりAppleのサポートセンターに問い合わせた方がいいかもと、思い直し電話してみる。
お姉さんが出て、少し話すと、「保証期間も過ぎていますので、ここからは¥4,800頂くとこになりますが、」と言うので、おれは頭の中で計算する。
(¥4,800!でももしこれで、ハードディスクがイカれてたさらにそのカネが必要で、そうなると…)
「あ、いいです。とりあえずもう少し色々やってみます」
…と、電話を切ったおれは、再度トラブルシューティングの記事を一つ一つ潰していくことにした。
どうやらハードディスクは死んではいない様子だ。たぶん。
だが、復元はどうも無理そうだ。インストールディスクを認識もしない。
で、消去して再インストールしかないという結論に達し、今その最中だ。
もちろんデータはすべて消えている。
タイムカプセルもiCloudも使っていなかったおれは、半ば呆然としながら、「インストール中」の画面を見つめている。
ホ・オポノポノは過去の記憶をデリートするのですという、ヒューレン博士の言葉が頭の中で反復横跳びをしている。
そうか、おれは自由なのか。自由ですね。自由ですか。自由なのだ。
と、色々と呟いてみるが、ほろ苦い気分もする。
自由って、しょっぱいですね。
iPhoneからの投稿
