「迷っているんです」
「苦しいのか? 笑え!」
「ムムム、先輩は疑問に思わないんですか、先生がお元気だってことを」
「真剣に考えても深刻になるな!」
「なな、なんと、今ならお得な考え方ですね」
「人の弱点を見つける天才よりも、人を褒める天才がいい。あの歳でお元気だなんて、凄い人じゃないか」
「そーなんですよね。先生は普通の人ではなかったです。益々お元気ということで、いーんですよね」
「過去のことを思っちゃダメだ。未来のことも思っちゃダメ。今ここを生きていけば、みんなイキイキするぞ!」
「ムムッ、先生は今を生きていらっしゃる。だんだん心が熱くなってきました」
「暑くなければ夏じゃない。熱くなければ人生じゃない!
ビールでも飲んでいくか?」
「いいんですか? 飲んじゃいますよ……クーッ!」
「いい飲みっぷりだ。ウイスキーも焼酎もある。さあ、もっと続けて。これは終わりではなく、新しい君の始まりだ」
「私は自分の殻を破ります。弱い命を革命できるでしょうか」
「一番になるっていったよな? 日本一になるっつったよな! ぬるま湯なんかつかってんじゃねぇよお前! 今日からお前は!富士山だ!」
「クーッ! 一番を目指します! 本部を自分色に染めて見せます。先輩も酔ってきましたね」
「このイワナを見てみろよ! イワナはなあ、余計な味付けいらねえんだよ。自分に中身がある。ダシが凄いついてるんだよ。イワナ見習って生きろ! 中身で勝負だ! これから、ダシのある人間になれ!」
「ムムム、どんどんダメダシされて成長します!」
「コダシはだめだ。デダシで勝負だ。ハダシで走れ。テダシは無用だ」
「なんだかよく分かりませんが、この道を極めます」
「郷ひろみが郷ひろみを極めるために離婚したように、先生も伸一を極めるために、お元気で執筆活動を続けておられる」
「あれれれれ。そこに少しでもギャップがあるのは設定として……」
論点をずらされ、借りものの理想に酔い、
常識を自分の弱さに置き換えられる。
これが幸福の軌道の正体だから……
Endless Love
for sensei.
嘘つけ! その狭くて短い軌道には年寄りが
渋滞中で事故多発ぢゃないか。
盲目の先には悲劇が待っている。
Endless Love