カラーコードが教えたこと | 河童の川流れ 「いい夢見ろよ~ あばよ!」

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電子系の技術者なら知っているはずだが、0~9の数字にはそれぞれの色が当てはめられていて、抵抗器などのリード部品では、その固有値をカラーコードでペイントする規格がある。

 

上から、5.1KΩ±5%、470KΩ±5%、27KΩ±5%

 

小さな数字の印刷より遥かに識別の利便性が高いためだ。

尤も、現在の電子製品は極小のチップ搭載になっているため無印刷で、実装後の値の確認は出来ない。

しかし現在でも、開発・実験段階ではカラーコードの付いたリード部品で実験基板を組み立てることが行われている。

なのでこの分野の技術者はカラーコードを見ただけで、その値がすぐに分かる。

ワタシはラジオ少年だったので、小学生時代からカラーコードは読めていた。

 

ある時、職場のひとりの技術者が実験基板を作成する際に、抵抗器の値をいちいちテスターで測定しながら選別、組み立てている様子を見た。

 

“こいつカラーコードも読めないのか。仕事が遅いはずだ”

と、技術力もさほど高くない彼のことを再認識した。

 

何年かしてから、彼に関するある情報を聞いた。

彼は生まれつきの色覚異常だと。

 

ガ~ン!

直ぐに思い当たった。

 

色覚異常に関する知識がなかったので調べてみると、男性の場合は20人に1人、女性の場合は500人に1人程度は該当するらしい。

 

おいおい、男はそんなに沢山いるのか?

今まで誰ひとりそんな話は聞いたことがないぞ。

本人が言わなければ全く分からないことなのだけれど。

 

彼らがどのように見えているのか、というシミュレーションのカラー写真を見て更にショックを受けた。

こ、これは……カラーコードなんてとんでもない仕組みだったのだ。

 

これまでにも大変な苦労をしたのだろうな。

知らない人が多いというだけで、世の中は決して優しい世界ではないと思えた。

 

健常者はRGBに対して感度を持っているが、このうちの何れかの感度が極端に弱いと、いくつかのパターンの色覚異常を生じるという。恐らくだが、生まれつきのものであれば直接的な違和感は少ないのかも知れない。

ただ、人と話が合わないことで自覚させられる可能性は高そうだ。

 

しかし逆に言えば、皆が皆、同じ値のRGBの感度を持っている方が不自然だ。

人によって感度分布のバランスが異なり、その度合が世の中に連続的に存在するとすれば、異常とまではいかなくとも、見えている色は人によってかなり異なるはずだ。

 

色に限らず、当たり前だと思っていることでも、人が感じること、考えること、文化など、その多様性は想像以上に広いことを予感させる。

ワタシ達は島国日本の中で無意識な均質化をすることに慣れてしまって、ただお気楽だったに過ぎない。

 

一人ひとりの体も心も全然同じぢゃないことの真の意味……

チンケな宗教が生命哲学とか言ってるけれど、その守備範囲を簡単に超えてしまうような話だったのだ。

 

 

因みに、昔からワンコは白黒しか認識しないと言われていたが、どうやら青や黄色の感度は高いらしい。

また夜間の視力は人間の数倍だという。

 

最も色覚が優れているのは魚類で、その分解能は人間の比ではないらしい。

虹なら数十色に見えるのかも知れない。

 

尤も、モノの方には色という概念はなく、表面の状態に依存する特定波長の反射光の色を、そのモノの色と人間が勝手に認識しているだけだから、実体はモノトーン的で絶対的なものではなさそう。これにはびっくりするしかない。

 

更に、紫外や赤外も見える生物がいれば、もっとカラフルな世界があるはずだ。

ほら、見えそうで見えない赤外線リモコンの光だって、スマホのカメラで見ればちゃんと見えるでしょ。

可視光域に隣接してるから、見える人だっているかも知れない。

 

以上、色男の講釈w