昨日、寒稽古を行いました。
日本列島に数年に一度クラスとの予報の
強い寒気がやってきたなかでの、
本年、最終の個別稽古であり、
先日の稽古納め、
東大宮道場の稽古と併せて、
一年間、皆とともに
稽古を続けることができたことに
心から感謝しています。
寒稽古は、
稽古の質を格段に上げます。
剛柔流空手道を科学する視点においては
もちろん、
感覚的にも確かなものであり、
真冬の稽古は全神経を集中させた
息吹と全身の締めがコンマ数秒、
ミリ単位まで合致するような、
そこに極限まで近づけるような感覚を
得ることができるものです。
それを言葉で表すことは
簡単ではありませんが、
少し表現するならば
澄み切るようで、
厚い鋭さをまとった冷気を、
鼻腔から喉の奥を通して
両の肺に大きく取り込み、
グッと丹田に落とし、
足腰から身体全体にタメをつくる。
そこを落とし切った刹那、
軸を変えずに
全身を外へ開放し、
同時に、
全身からすべてを内に絞り込む。
息を送り出し、
喉の奥から口腔までを引き締めつつ、
自身の肺活量と
呼吸の速度に合わせながら、
すべてを吐き切る ―――
それは、終えた瞬間から
手応えが感じられるほどの
心身の充実です。
呼吸と思考は活性化され、
目は生気を増し、
僧帽筋から口元までが
いっそう引き締まることもあれば、
充実感から
笑みがこぼれるほどに
口元が緩むことも。
伝統の稽古を通して
確かなものを身に付け、
自分の“形(かた)”をつくる。
良い習慣を身に付けることは
容易ではありませんが、
一度、自分のものとしたならば、
生涯にわたって己の支えとなり
力となります。
年の瀬もいよいよ大詰め。
この一年、
たくさんの方々の考え方や姿勢、
取り組みから
多くのことを学ばせていただきました。
私も、そのような存在の一人であれるよう、
振り返れば、
試行錯誤と模索を続けたようでもあり、
微動だにせず、
始めから一貫したものがあったようにも
感じています。
厳しい時代こそ真価が問われ、
実力は際立ち、
より確かなものを
己に蓄える時機ともなります。
今年一年、ありがとうございました。
自他ともに、
新たな年をよりよいものとしていけるよう、
力を尽くしていきたいと思います。
追記
先日の稽古納めでは、
体験で小学生の男女2名が参加しました。
それぞれが直感的に何を感じたのか。
一緒に道場を見学されたお母さん方には
指導方針や稽古内容を一通り伝えたうえで、
その翌日に、
2人とも新年から入会するとの
ご連絡をいただきました。
出会いは縁ですが、
その瞬間だけでなく
その後に至る長い道のりも、
どちらも
偶然の一言では片づけられない何かが、
必ずあるものだというのが実感です。
明確化できない
柔らかなもののなかにこそ
核心というものがあるのです。
これまでも記しているとおり、
感覚的で理論的 ―――
感性を持って理論的に考えること。
理論的でありながら感性を大事にすること。
この揺れ動く思考をいずれも大切にして。
新しい一年を
どのようにしていくことができるか、
新年から新しい仲間を加えて、
皆で頑張っていきたいと思います。