稽古の指揮を任せることは少なくない。
私も、会長範士から、
さまざまな場面で指揮を執る機会を
数多くいただいてきた。
いま、ともに稽古をしている道場生たちにも、
たくさんの経験を積んでいってもらいたい。
稽古で指揮を任された者は、
代表にも、他の者にも、
遠慮をする必要はない。むろん、
私自身も配慮されるようなことは
望んでいない。
稽古のなかで、
より最善な指揮の必要性を感じた際には、
私が迷わず指摘する。
会長範士が、長年、声を大にしているひと言。
ここは修養の場である ―
ゆえに、指揮を任されたからには、
年長者も年少者も自ら、
できうる限りの気力、体力、
精神力をぶつけていってほしい。
道場生は、その指揮と、
指揮を執る者に応えるとともに、
同じ仲間、道場生どうしも
互いに刺激し合うことで、
道場全体の集中力を高めていく。
心は高からず、静かな落ち着きを保ち、
精神を研ぎ澄ます。
そして、道場生一人ひとりの、
日常では成しえないブレイクスルーを引き出す。
多寡ではない。
積み重ねが心身のあらゆる面の幅を広げ、
必ずや着実な成長へとつなげていく。
確かな手応えは、
やがて、自身でも気づかぬうちに、
揺るぎない自負とも言えるような、
大きな財産となっていくであろう。
指揮を執る者の、
担う役割は大きい。
私が、責任をもって指揮を任せる。
当会の伝統であり、
これからも長い目で根気よく
続けていきたいと考えている。