「残身をとれ」

 

かつて、稽古中に会長範士から

 

よく声が飛んできたものである。

 

残心は、武道に限らず、

 

日本文化のさまざまな分野における

 

伝統的なものであり、

 

残心とも、残芯とも言われ、

 

また、時には余韻とも言い換えられる。

 

 

静と動、明と暗、伸と縮、

 

点と線、緩と急など、

 

心身を対極の狭間で絶妙に変化させて

 

揺り動かすものであり、

 

日本人の美意識や精神性にも

 

深く通じるものである。

 

日本人のアイデンティティの

 

一つと言ってよいだろう。

 

 

大なり小なり、

 

人々の日常の小さな所作、

 

ふとした動きにも現れていると思うが、

 

修練を重ねてきている者の

 

立ち居振る舞いは、

 

格が違うと感じる。

 

何かこう、

 

自然とうなってしまうような場面、

 

惚れ惚れする動き、

 

息を呑むような瞬間に出会えることほど、

 

楽しいことはない。

 

 

心身の動きは、

 

自らの呼吸と切り離せない、

 

連動したもの。

 

その残心の極意は、

 

日本の伝統的な分野の根底に、

 

今も確かに流れている。

 

道半ばであるが、

 

これからも成長への期待は大きい。

 

 

新たな刺激を受けたら、

 

そこが出発点。 

 

いま動かずして、いつ動く。