センスは、必ず磨かれる―――。

 

これは、昨日、

 

ある道場生に言った言葉です。

 

センスの有無、

 

「ある」「なし」を評価されることは

 

社会ではよくあることです。

 

これまでに「いいセンスしているね」と

 

笑顔で褒められた分野、

 

いまはどうでしょうか。

 

逆に「センスないなあ」と

 

つまらない表情で軽くあしらわれた分野、

 

いまはどうですか。

 

 

子どもの頃から、

 

学問、スポーツ、音楽、芸術、

 

料理、ファッション等々、

 

仕事においても、

 

企画、制作、技術、営業、

 

接客、事務等々、

 

誰しも

 

何かしらのことを言われたことが

 

あると思います。

 

 

振り返ってみれば、

 

これは頑張れた、

 

あれは頑張れなかったな、

 

と思うものがあるはず。

 

誰かに言われたことのある分野に

 

限らず、

 

誰にも言われたことのない分野に

 

おいても、

 

程度の差こそあれ、

 

向き不向きというか、

 

センスのようなものを

 

自覚してきているものが

 

あるのではないでしょうか。

 

 

このようななかにあって、

 

すでに3年、5年、10年…と

 

長年にわたって取り組むことが

 

できているものがあるとしたら、

 

もしくは、

 

これからそのようなものに

 

出会えるとしたら、

 

それは素晴らしい縁のようなもの

 

なのだと思います。

 

 

それによって、

 

成長できる部分は少なからず

 

あるでしょうし、

 

その成長は、

 

その分野の伸びだけにとどまらず、

 

きっと多方面で

 

人生の幅を広げるきっかけにも

 

なると思うのです。

 

 

例えば、

 

八角形のレーダーチャートを

 

ぼんやりと頭の中で描いてみます。

 

最初は、

 

八角形の各頂点が中心の近くに

 

あるかもしれません。

 

そして、

 

その8つの頂点を結んだ面は

 

小さなものかもしれません。

 

 

ですが、

 

そのうちの1つの頂点が伸び始めると、

 

徐々にその面積は広がり始めます。

 

そして、

 

長年の研鑽は、いつのまにか

 

その1つの頂点の伸びにとどまらず、

 

ほかの頂点をも

 

伸ばしていくものとなり、

 

やがては全体の枠、

 

その面積はこれまでにないほど

 

大きく広がっていく、

 

広げていくことができると

 

思うのです。

 

 

人を形づくっているもの、

 

人生を彩っていく要素は

 

八角形どころではありません。

 

これまでの多種多様な経験、

 

そして現在の取り組みが、

 

その人のありように

 

つながっていくものと思います。

 

 

試験も、試合も、仕事も、

 

ある程度の期間で成果が求められる、

 

社会は、

 

制限時間内で結果を出さなければならない

 

ものにあふれています。

 

さまざまな分野で、

 

競争にさらされ、

 

評価の目にさらされ、

 

誰かと比較され、

 

優劣をつけられることは、

 

生きていくなかで

 

避けられない現実でしょう。

 

 

短期決戦による成長を

 

否定するものではありませんが、

 

現実社会を受け止めたうえで、

 

他にも何かできることは

 

ないものでしょうか。

 

 

そこで考えてみたいのです。

 

長い目で、

 

長期的な視点で

 

取り組むことができるものは、

 

人生という道のりにおいて、

 

とても大切な

 

意義あるものなのではないか、

 

それこそ、

 

着実な成長の糧に

 

なりうるものなのではないか、と。

 

 

レーダーチャートの枠や面積を、

 

人より大きくすることが

 

目的ではありません。

 

時系列で、自分の時間軸で

 

成長を続けていくことが目標です。

 

その目標として描かれるものは、

 

歴史上の偉人かもしれませんし、

 

本で出会った人々もいるでしょうし、

 

これまで出会った人々の

 

ステキなところが重なり合ったもの

 

かもしれません。

 

 

この取り組みにより、

 

その先の息の長い成長につなげて、

 

自分の道を

 

切り拓いていくことができたなら、

 

と思うのです。

 

 

『SENSE』は、

 

日本語に言い換えれば

 

『感覚』『感性』です。

 

この明確化できないもの、

 

柔らかなものの中にこそ、

 

核心があると感じます。

 

長年の取り組みによって

 

得られる手応えは、

 

かけがえのない財産と

 

なるでしょう。

 

 

ゆえに、

 

私はこれからも後輩たちに

 

言い続けていきます。

 

センスは

 

必ず磨かれます。