剛柔流は空手道四大流派の一つである。

 

剛柔流の最大の特徴は、

 

息吹と呼ばれる呼吸鍛錬法を主体とした

 

心身の修養にある。

 

そして、その鍛錬は、

 

円運動を中心に剛と柔の動きを組み合わせた

 

移動や型、組手に集約される。

 

 

息吹は、普段の生活における呼吸や

 

スポーツ等の運動で身体が疲労した際の

 

息切れや大きな呼吸とは異なり、

 

『呼(こ)』吐くこと、と、

 

『吸(きゅう)』吸うことを、

 

身体の動きとともに

 

徹底的に意識する鍛錬法で、

 

剛柔流の神髄とも言えるものである。

 

 

これは、

 

インドのヨガや中国の太極拳、

 

日本の座禅に通じるもので、

 

いずれも、呼吸法を意識しながら

 

その呼吸に身体を連動させるという点、

 

さらに、吸うこと以上に、

 

吐くことを意識するという点で合致する。

 

まず『呼(こ)』があり、

 

次いで『吸(きゅう)』となる、

 

まさに

 

漢字が表す通り『呼吸』なのである。

 

 

なお、多くの伝統的な呼吸法が

 

「陰(いん)の息吹」を

 

主体としているのに対して、

 

剛柔流空手道は、

 

その「陰(いん)の息吹」とともに

 

「陽(よう)の息吹」の修養を

 

重視している。

 

「陽(よう)の息吹」とは、

 

全身を締めて体力、精神力を

 

圧倒的に高めるもので、

 

前面に押し出される力強さの一方、

 

精神は驚くほど静かに落ち着き、

 

集中力を研ぎ澄ませる呼吸法である。

 

 

このような特徴をもつ剛柔流であるが、

 

空手全体としては

 

東京オリンピック(2020年)の

 

正式種目に決定して以降、

 

鋭い突き技や豪快な蹴り技など、

 

日本の代表的な格闘技として

 

クローズアップされる傾向が強まっている。

 

 

その通りの一面があり、

 

強さの象徴的なものとして人々の認識が

 

高まることは有り難いが、

 

武道としての空手道の本質はそれだけではない。

 

各流派にさまざまな特徴的な

 

鍛錬や稽古法があり、

 

基本や移動、型、組手がある。

 

空手道発祥の地・沖縄では文字通り、

 

老若男女が長年にわたって

 

自己実現に向けた修養を続けている。

 

空手道の修養は、性別、年代を問わず、

 

誰もが自分の現状に合わせて

 

実践することのできるものである。

 

その中で、

 

もし縁あって剛柔流の門を

 

たたくことがあれば、

 

ぜひ、息吹の体得を目標の一つに

 

掲げてほしいと思う。

 

そして、不断の取り組みの先には、

 

その目標一つにとどまらない

 

何物にも代えがたい何かが

 

得られるものであると

 

すでに手応えを感じ始めているようでもあり、

 

それは

 

まだこれからであるようにも感じている。

 

 

道、半ばであり、

 

迷いも、試行錯誤もあるが、

 

一つだけ確かなことがある。 ―――  

 

何事においても

 

継続こそが力である。