梅雨が明けて夏らしい強い日差しが照りつけるようになりました。そうなると恋しくなるのがよく冷えたビールです。特に風呂上りの一杯は格別です。


そんなこともあり、昨日の昼下がりに地元のスーパーのビール売り場を見ていたのですが、その価格をみて妙なことに気づきました。


そのスーパーでは某社の定番ビールの350mL缶、500ml缶、1L缶が売られていたのですが、値段を見ると、ぞれぞれ、197円、268円、559円となっていました。少し計算すればわかるのですが、この中で一番お得、すなわち単位量あたり(例えば100mlあたり)の単価が一番安いのは500mL缶です。実際、500mL缶2本で536円となり、1L缶を買うより23円お徳です。


(※ちなみに2Lと3Lのミニ樽というのも売っていて、これは1L缶よりもさらに割高な商品なのですが、これは主にホームサーバー向けの商品であり、購入者が限られていることが要因と思われます。)


この値付けを見て2つの疑問が沸きました。一つ目は、普通は量が多いほうが安くなる、つまり1L缶のほうが安いと思われるのに、なぜ500mL缶が一番割安になるのかということ、もう一つは、(こちらのほうがより素朴な疑問なのですが)なぜわざわざ割高になる1L缶を店で売っていて、かつそれを買う人がいるのか、ということです。


まず一つ目の疑問ですが、これはメーカーの製品コストからのアプローチと、店側の仕入れ価格からのアプローチありますが、製品コストよりも仕入れ価格から考えたほうがよさそうです。(大手スーパーと飲料メーカーとの交渉においては、前者のほうが力関係が強そうなこともあり・・・)


店としては、当然売れ筋の商品をなるべく安く仕入れて、他のスーパーよりも安く販売したいと思っています。ビールにおいては350ml缶や500ml缶は「激戦区」になるわけですから、当然仕入れ価格に関する交渉も熱が入り、1円でも安く仕入れて1円でも安く売ろうとします。結果として、350mlや500ml缶の価格は低く抑えられ、メーカー側にとっても、店側にとっても「薄利多売」状態になります。


一方で、1L缶というのは、それほど販売数量も多くなく、また取り扱っている店舗も少ないこともあって、メーカー側としてもある程度の利益率を確保しようとします。結果として、1L缶というのは売れ筋の350mlや500ml缶よりも割高な商品になってしまうと理解できます。


さて、そうなると2つ目の疑問にぶつかります。なぜ割高になる1Lの商品を店側は置くのでしょうか?あるいは、買う側は、なぜわざわざ割高である1Lの商品を選ぶのでしょうか?


少し長くなりますので、この続きは次回の記事で書きます。



昨日土曜日の未明に行われたiPhone4の受信感度をめぐるAppleの会見で、スティーブ・ジョブズCEOは「ユーザーに迷惑をかけた」「我々は完全ではないし、電話も完全ではないが、利用者全員をハッピーにしたい」というコメントを述べ、感度低下を防ぐことができるとされる専用のケースを無償配布することを発表しました。ただ、一方でアンテナの設計で欠陥があったことは否定し、自主回収や修理は実施しないとしています。


どのような会見内容となるか見守っていましたが、米国のコンシューマー・リポート誌が「購入は推奨できない」とするなど問題が大きくなっている中での対応としては、解決にむけた第一歩を踏み出すものであったと思います。一方で、無償配布とするケースですが、Apple純正では29ドルで販売されていますが、原価では数ドル程度とされており、先日実施された修正版OSの配布と同じように、なるべくコストのかからない選択肢を選択したように思います。


以前の記事でも書きましたが、Appleのすばらしいところは、製品のコンセプトが明確 であり、最先端の技術を用いながらも「技術の押し付けのようなもの」を感じさせないこと、また製品やインターフェースののデザインにも徹底的にこだわり、使い勝手のよい(逆にいえば手放せない)商品を作ってくることです。


しかし、今回のiPhone4のように、特定の持ち方をしてはいけない、あるいは専用カバーをつけなければいけないというのは、Appleにとっては「不完成な製品になってしまった」という感は否めないのではないかと思います。


ですので、自身のアイデンティティを守るためには自主回収や修理に踏み込んでもよかったのではないかと思いますが、しかし、そうすることで「不完全な商品を世に出した」ことを認めることになり、それはAppleのプライドが許さないという、ジレンマに陥っているような気がします。


いずれにせよ、先日の会見でも真相はわからないままですが、今回の問題は、iPhone4の高機能化と無縁ではないような気がしています。


今回発売されたiPhone4は、最先端のディスプレイや高性能CCDカメラモジュール、あるいはHD動画編集機能などが搭載されており、従来のiPhoneと比べると、製品スペックは格段に向上しています。それを従来よりも薄い筐体に収めようということですので、製品設計や製品の製造工程が複雑になり、製造品質のバラツキが大きくなりがちです。一方で、製品設計のほうも相互に影響を与える因子が多くなり、検証すべき項目が多岐にわたり、製造のバラツキを吸収できない設計(「堅牢=ロバスト」でない設計)になってしまったのかもしれません。


昨日の会見に対して、上述の米国のコンシューマー・リポート誌は、「いずれにしても購入は推奨できない」としています。それに対してAppleは「欲しくないなら買わなくてもいい」という強気の態度を見せるなど、まだしばらく混迷は続きそうです。


それほど人気でない商品ならこれほどの騒ぎにはならかっただろうとは思いますが、世界的な大ヒット商品をめぐる対応だけに今後とも動向が注目されます。



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電子書籍端末の概念が変わった

製品コンセプトの重要

前回の記事において、税収は国家にとっての「売上」であり、いかにして税収を確保するかというのは、「国家のマーケティング戦略」だと書きました。


その続きになりますが、税収のマーケティングと通常のマーケティングとで決定的に違うのは、国家はそれぞれの商品(税金)において100%のシェアをもつ(=税の徴収に強制力がある)ということです。そうすると、どんなに市場をセグメンテーションして商品(税金)のポートフォリオを考えてたとしても、それぞれの商品の「シェアを上げる」ということはできません。(ちなみに脱税の摘発というのは、そのなかでシェアを100%に近づける作業といえます)。


シェアに関する変数がないとすると、税収(売上げ)を増やそうとするには、税率を上げる(値上げする)か、新しい税を導入する(新商品の投入)か、税の対象となるパイの拡大を図る(全体の市場を拡大する)かのいずれかの方法となります。


このうち、税率を上げることと新しい税を導入することは、いずれも短期のうちに確実に税収を増やすことができますが、税に強制力があることを考えると、少し慎重にならざるを得ません。


国民にとっては、税負担総額が増えることで実質的に消費できる金額が減るわけですから、経済活動全体にマイナスの影響を与えます。市場全体のパイが拡大しないなかで新製品を導入したとしても、製品同士の食い合い(ガニバリ)になってしまうように、新たな税負担が加わることで、例えば個人の消費が落ち込み、別なところでの税収入が落ち込む結果になりかねません。


よって、最も重要なのは、市場全体を拡大させる(景気を回復させる)ことです。一般的に言われているのは、トップシェア企業にとって、もっとも脅威なのは市場全体の縮小です。ですので、現在のデフレというのは、税収の確保という観点においても非常に厳しい状況です。それを打破するには、高い経済成長率を実現し、経済全体が成長する必要があります。


さてここからが課題なのですが、全体のパイを拡大させようとすると、短期的には効果が期待できませんので、非常に長期的な視点で考えなければなりません(これまで何度も書いたように、政治には長期的な視点で政策を実行してほしい と思っています)が、問題なのは、国の財政状況が悪すぎて、全体のパイの拡大を待つだけの余裕がない場合です。


もちろん事業仕分けのような無駄な歳出削減は重要です。そうすることで、少なくとも財政悪化のスピードを遅くして、時間を稼ぐことはできます。しかし、無駄の削減で事が解決するほど、今の日本が抱えている課題は小さくありません(ただし改善にむけた第一歩にはなります)。


どうしても税率の引き上げや新しい税の導入といった施策に出なければ財政が破綻することが明確になったような場合は、税収と実質消費のバランスという観点を飛び越えて、実体経済にどのような傷口を与えようがどうなろうが、強制的に税収を確保して借金を返していく必要があります。消費税30%というような話がでるのはそのためです。


それができなければ、財政破綻です。つまり、借金(国債)を返せないということです。これは企業で言えば、倒産(=法的再生)です。多くのステークホルダー(もちろん日本の国外にも影響を与えてしまいます)が、強制的に損失を被ることになります。


今の日本は、自立再生に向けた余裕がどのくらい残されているのでしょうか?最初は頭の体操のつもりで、税収を企業活動に例えて書いていたのですが、書いていくうちに意図せず非常に重い内容になってしまいました・・・。


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政治に求める長期的視点



少し違和感のあるタイトルかもしれません。納税は国民の「義務」ですので、これから書く内容は不適切なたとえかもしれませんが、ある課題に対して新しい視点を加えることで発想が広がることもありますので、敢えて書いてみることにします。


国家と国民の関係というのは、企業と個人株主(しかも資産の大部分をその企業に注ぎ込んでいる株主)の関係にたとえられます。


その個人株主(=国民)からすれば、その企業(=国家)が倒産してしまえば、ほぼ全財産を失ってしまいますので、その企業から提供される商品(=行政サービスや社会福祉など)がよかろうが悪かろうが、また商品・サービス価格に見合う価格(=税率)であろうがなかろうが、その企業の商品を買って(=税金を払って)、その企業がつぶれないようにがんばって支えている・・・、唯一意見が表明できるのは、株主総会(=選挙)である・・・・。そんな関係です。


この関係になぞらえるならば、税収は国家にとっての「売上」であり、いかにして税収を確保するかというのは、国家の「マーケティング戦略」といえます。各種の税金というのは商品のポートフォリオとして考えることができ、どの税金をどのセグメントに当てはめるのがよいか、その際の価格(税率)はいくらが適正かを考えるのが重要となります。


例えば今回の選挙で争点の一つになった消費税は、マスマーケットに投入する、価格の安い日用品のような位置づけです。トイレットペーパーやティッシュペーパーのような感じでしょうか。価格自体は高くないのですが、消費者はその価格動向に非常に敏感です。不況下で消費税率を引き上げるというのは、商品が売れなくてデマンドが冷え込んでいるときに値上げをするようなもので、ますますデマンドが冷え込む結果にしかなりません。


また、所得税は生活インフラ消費としての家賃みたいなものです。所得に応じて毎月無理やり払わされるもので、かつ多くの場合は銀行引き落としなどで勝手に支払われるもの(=源泉徴収)なので、金額が多くても自分で払っているという感覚が希薄になってしまいます。また、家賃の高さに我慢ならなくなって引越しをする(=移住する)という手もありますが、それは引越し費用が大変ですし、そもそも新しい住居が確保できる(=国籍が取得できる)かどうかもわかりません。それゆえ大家さんから家賃の値上げを通告されても、しぶしぶ我慢するものです。

このように、税金を日常商品に例えてみるのはそれはそれで面白いのですが、それはさておき、税収のマーケティングと通常のマーケティングとで決定的に違うのは、国家はそれぞれの商品(税金)において100%のシェアをもつということです。


そういった特性を踏まえてさらに書きたいと思いますが、少し長くなったので、続きは次回の記事で書くことにします。


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政治に求める長期的視点




前回の記事で、静岡空港に本拠地を構えるフジドリームエアラインズ(FDA)が地方路線を中心に就航路線を拡大しており、日本市場の特性に合わせて、小型ジェット機を用いた高効率なオペレーションを行っていることを書きました。


いわゆる地方路線というのは、東京、大阪、札幌、福岡などの大都市部と地方を結んでいる路線がほとんどですが、一方で、大都市部と地方を結ぶ航空路線は、鉄道特に新幹線が代替の輸送手段として存在しており、真の意味でのニッチ市場ではありません。実際、FDAの静岡-福岡路線の価格は、新幹線での運賃を意識している設定となってます。


一方で、新幹線が通っていないような地域同志の需要を結ぶ路線は、電車では非常に時間がかかりますので、本来的には航空機が優位性をもつ市場となります。つまり、「短時間の輸送手段を提供する」という点において、真の意味でのニッチ市場になり得ます。


私も仕事の都合でそのような移動をすることがあるのですが、新幹線と違って在来線特急は本数が少ないですので、新幹線を挟んで在来線特急2回、乗換えを含めて最長7時間の移動となることもあります。もしそういったところで飛行機が就航していれば、電車より少々値段は高くとも(すくなくともビジネスの利用では)飛行機を選択します。


地方に本社があってその企業がまた別の地方に工場や営業所を有している場や、地方の複数の工場を有する企業が工場間を移動する場合などにおいて、地方間の移動というのは規模は少ないながらも確実な需要が存在します。そうすると、そういった路線に小型の飛行機を就航させることで、採算が確保できる可能性もあります。


あるいは、ブルーオーシャン戦略で有名となった米国のネットジェッツ社と同様のスタイルになりますが、地方間の移動需要をもつ法人を対象にして、プライベートジェット並みの小型機を用いて、擬似チャーター便の運行を提供するという選択肢もあります(実際、鈴与グループの中にチャーター便サービスを提供している会社もあるようです)


前回の記事でも書きましたが、日本で公共輸送手段というと鉄道が中心で、新幹線の整備が大々的に進められてきました。東京ー大阪間のリニア構想はさておき、ある程度の新幹線インフラが整った今となっては、さらに莫大な費用をかけて地方の新幹線網を整備する必要は薄いと感じています。


一方、十分に活用されていない既存の地方空港を生か日本のあちらこちらにあります(都市部の空港を含めて約80の空港が日本には存在しています)。それを活かして、小型の航空機を用いて地方間の運輸需要に応えていくという選択肢のほうが、より現実的というか、無駄が少なくなります。


「地域社会の発展に貢献」「新しい発想で常に改革に挑戦」といった言葉がFDAの企業理念に歌われています。既存の空港インフラを活用して地方間輸送でのパイオニアとなるのか、今後の動向に注目しています。


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