前回の記事で、「イシューからはじめよ」という本のことに少しふれましたが、この本を読んでなるほどと思った記述があります。それは
・「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
・「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること
・10分以上考えて埒があかない場合はそのことについて考えるのはやめたほうがいい。それはもう悩んでしまっている可能性が高い。
ということです。

私なりの解釈では、「考える」というのは、問題をどのように解けばいいのかという道筋がおおよそ見えていて、粛々とその道を進むことで答えに辿り着くという行為なのに対し、「悩む」と言うのは、そもそもどのようにその問題を処理していいのか分からずに、出発点の周りとぐるぐると回っているような状態です。

数学の問題を解く場合と似ていると思うのですが、「考える」と言うのは、定石なりで問題をどう解けばいいかというやり方が分かっている状態です。この状態であれば、途中で若干のひねりは必要かもしれませんが、あとは式を展開したり計算したりして行けば、答えに辿り着くことはできます。

一方で、「悩む」というのは全く解法が分からない状態で、手当たり次第に問題をこねくり回してはみるけど、答えには辿り着くことはできません(ちなみに私は、数学が苦手で大学で化学を専攻したくらいなので、受験勉強では後者の状態がほとんどでした・・・)。

では悩んでしまったらどうするのか?答えは簡単で、「解き方が分かる人に聞く」ということです。10分考えてみて埒があかなければ、人に相談してみるということです。

そして何人かに聞いても埒が明かない場合は、「その問題は解くべき問題ではない(解けない問題)」という事です。そのような問題に時間を割くこと自体が無駄なことになります。アカデミックな領域では、誰も解いたことのない問題に対して、時間をかけながら(悩みながら)解き方を見つけることも重要ですが、コンサルの世界では、「今だれも解けない問題は解かない」というのが正しい選択です。

ここで考えているのは、あくまで「コンサルタントとしての仕事の仕方」という観点で書いているので、日常生活においては「悩む」ということも出てきますし、「解けない問題」と言って逃げてばっかりもいられないこともあります。但し、コンサルタントの仕事は、決められた時間内に一定のアウトプットを出すことを宿命として負っていますので、「考えてみたけど、答えが出ませんでした」は許されないことです。

人に聞きながらそれを何度も繰り返していくと、自ずと解き方のパターンが見えてきます。数学の問題でも、答えを見ながら何十問、何百問も解いているとある程度のパターンが見えてきますが、それと同じです。シニアなコンサルタントの人たちも、そうやって、問題の解き方を身につけていったようです。そして、最終的には人に聞かずとも、だいたいの問題が解けるようになるのです。

ここで重要なのは、「時間をかけて自分で解き方を見つける事」自体は、コンサルタントの仕事の進め方としては、ほとんど評価されないということです。それが、これまで誰も解いたことのないことであれば別でしょうが、そもそも上で書いたようにそういう領域には踏み込まないのが通常ですので、基本は誰かに聞けば解き方がわかるものがほとんどです。

つまり、「3時間かけて自分なりに考えてみました」というのと「人に聞きながら30分で仕上げました」というのでは、明らかに後者のほうが評価されます。こうやって考えていくと、コンサルの仕事は極度にプラクティカル(実践的)だと改めて感じます。

実は、私はまだこの壁を越えられずにいます。どうしても「自分で考えよう(=「悩む」)」としてしまう癖が残っているのです。ここを越えられると、生産性が飛躍的に上げられるとは思うのですが・・・。

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