フジドリームエアラインズ(FDA)という地域航空会社(リージョナルエアライン)があります。静岡の総合物流会社である鈴与が100%出資する会社です。
日本航空の不採算路線からの撤退をうけて存続の危機に立たされた富士山静岡空港を拠点として、福岡、鹿児島、熊本、新千歳、小松空港に路線を開設し、今年の6月には同じく日本航空が撤退した路線を引き継ぐ形で、信州まつもと空港と福岡、新千歳の路線も開設しました。また、同じく日本航空が撤退を表明している名古屋空港路線について、FDAが愛知県に就航の打診をしているというニュースもありました。
FDAの特徴は、静岡空港という地方空港を拠点としながら、鉄道移動では時間のかかる都市を中心に、80人前後の小型のジェット機を運行している点です。また、機体は3機しか保有していないものの、これで1日18路線を運行しており、1機一日あたり6路線を運行しています。そのため、飛行機が着陸してから、次に離陸するまでのインターバルは25分と非常に優れたオペレーションを実現しています。
日本航空は赤字となった地方路線から次々と撤退していますが、地方路線がすなわち儲からないというわけではありません。FDAのように、小型機を用いてそれを効率的に稼働させ、乗務員を含めて最小限のスタッフとし、かつその人件費も常識的なレベルに抑え、さらに広告宣伝などの販促費用も最小化することで、1運行あたりの固定費を下げて損益分岐客席数を下げることができます。そうすることで、日本航空が赤字撤退した同じ路線を運航したとしても、FDAでは黒字化が可能なのだと思います。(実際に黒字になっているかわかりませんが、少なくともそういう勝算があるから参入したのでしょう)
このようにFDAは地方路線を中心に就航して、高効率オペレーションでコストダウンを図っている点において、米国航空業界で好業績を保っているサウスウエスト航空と似たような戦略・オペレーションをとっていることがわかりますが、一方で、市場の特性からしてサウスウエスト航空とは同列で語れない点はあります。
米国の都市間移動は距離が非常に長く、実質的には飛行機しか選択肢がありませんが、日本は米国と違って国土が狭く、その中で鉄道網が発達していますので、特に新幹線が開通しているエリアというのは、必ずしも飛行機を利用しなければならないというわけではありません。つまり、米国のサウスウエスト航空は、国内の地方路線に特化していてもそれなりの規模の市場を対象とできるのに対し、日本の地方路線というのは非常に市場規模の小さい市場といえます。
ゆえに、FDAはサウスウエスト航空やその他多くのエアラインが使用している小型ジェット機の代表格であるB-737を使用するのではなく、さらに小型の航空機(ブラジルのエンブレアル社の小型ジェット)を使用して、日本の市場特性にあわせた事業展開を行ってるといえます。
そうしたFDAが今後さらなる事業展開を図っていくに際して、既存の地方空港というインフラをうまく活用して、地方都市間輸送という真のニッチ市場を開拓していくという選択肢があると考えていますが、長くなったので、これは次回の記事で書きます。