毎年秋から冬にかけて中期計画を立てる企業が多く、それに照準をあわせて、早いところでは夏前の今頃から事業戦略のレビュー(見直し)に取り掛かります。役員や幹部による戦略ワークショップ(役員合宿といったり、オフサイトミーティングといったりするようです)を開催して、集中的に戦略を討議することもあります。
そうやって戦略を立てる際に勘違いしやすいのは、市場、顧客、自社の状況などの経営分析を行えば、正しい戦略が立てられると思うことです。
3C分析(顧客・他社・自社の分析)、やSWOT分析(強みと弱み・機会と脅威の分析)など古典的な経営分析手法がありますが、全社的な「帳票」でこれらがフォーマット化されていて、とりあえず埋めなければならないという場合もあるようですが、一般的に言われていることをまとめ、フォームを埋めて良しと思っている場合もありあす。
また市場分析も、調査会社などが発行しているデータなどを基に行う場合がほとんどです。調査会社のデータそのものは客観的な市場分析データとしては有用なのですが、そこには「潜在的な顧客ニーズや、今後あたらに創造される市場」といったものは現れてきません。そういったデータから分析される結果というのはどの会社も似たり寄ったりになり、独創的な戦略にたどり着くことは期待できません。
もちろんこれらの分析も論理的に掘り下げて徹底的に行えば、本質的な課題にたどりつくこともできますが、大体の場合はそこまでの時間がなく、「とりあえずやってみた」という程度の分析であることが多く、その結果として何をすべきかという課題が見えてこない場合がほとんどです。上記のようなワークショップを行った場合でも、分析の報告ばかりで、結局何がしたいのかの結論が出ないことが往々にしてあるのは、そういう理由です。
重要なのは、分析から戦略を導き出そうという考え方ではなく、「戦略を検証するために分析を行う」という考え方です。経営者やそれを支えるスタッフに現場のビジネス感覚があれば、自ずと取るべき戦略やそれを実行するための課題が見えてくるものです。あくまで「こうしたいという方向性(戦略仮説)」があって、それが正しいかどうか、あるいはどのように修正をすればよいかを検証するのが経営分析なのです。
戦略まずありきで、その検証という位置づけで分析を行おうとすると、おのずと分析の切り口が決まってきます。同じデータを使っても、切り口をひとつ変えるだけで、違ったように見えることもありますが、戦略に基づいた独創的な切り口で分析を行うことで、新たな発見をすることができるのです。