私ではない。
うちの会社に勤務する男性社員の話だ。
昨今、人口減少の話題は毎日のようにメディアに登場する。その要因は子供を産み育てやすい環境が整っていないことにあると言われている。
私にも子供が三人いるが、当時、育児休暇などとろうなどと思ったこともなく、そのほとんどを妻に任せ、私自身は仕事だけに没頭してきた。
また、それが当たり前だと思っていた。
一年ほど前、リフォーム工事でお世話になったお客様のところの雑談で、家事の話題になった。
20代のご夫婦はお互い共働きで、家事をするのはお互い50:50だと当たり前に言われて、少したじろいだことを覚えている。
時代は確実に変わっていて、うちの会社も考え方を変えなければこれからの社会に生き残ることはできないな…
と本気で思った。
うちの会社は社員の平均年齢もずいぶんと上り、これから子供を産み育てる機会を持てる社員は今のところはごくわずかだ。
しかし、数少ない機会に、実際に男性が育休をとったという実積を積み上げることは絶対に必要だと思った。口でいくら子育てしやすい職場をつくると宣言してみても、実績があるなしの説得力は雲泥の差だ。
わずか1週間のことだが、彼に育児休暇を実際にとってもらって、子どもを産み育てるということに参画してもらった。彼は大きな現場で責任ある立場であるが、その期間は他の社員に対応してもらっている。
子育てだけでなく、本人の事故や病気、また家族などのさまざまな出来事で出社できないことはままある。
その人でないと対応できないことがないよう、つまり仕事が属人化しないようにしていくことも会社としては必要なのだ。
育児休暇というもの通じて、本当に社員にとっての幸せとは何なのか、また社会がどうあるべきかということを考え、人や組織がより成長するための貴重なチャンスとしたい。