最近、M&Aを支援する会社からの電話、郵送文書などが激しい。
だいたいが無視をしているのだけれど、銀行の方などにお聞きすると、それだけ今、企業の後継者問題が深刻になっていることがその理由らしい。
私の会社も10年後、あるいは20年後に、どう存続させるかとうことを、真剣に考えなくてはいけないけど、いまのところは、私は体調もよくまだまだ当分死ぬことはないだろうから、元気でいる限りは、まだ先送っていい問題だと思っている。
それとは別の話になるのだが、、私の周辺に限らず、日本のいたるところで、空き家が増えており、それらが適切に運用されていないということでいわゆる『空き家問題』となっていて、今後ますます状況は深刻化しそうだ。
これらは別の問題のようだけれど、別の視点でとらえてみると、これは結局のところ、どう資源を有効に活用するのか…という問題に行き着く。
これまで蓄えてきた無形、有形の資産が次に引き継がれなくなり無駄になってしまうこと…これがこの問題の本質である。
仮に、空き家も単なる借家で、息子、娘に引き継ぐ資産でなければ、別にこの問題が生じることもないし、それは企業とて同じである。
製造設備や、建物も、それが有効に使われれば価値あるものとして存在するが、それが引き継がれなければ、単なる物体の塊でしかなくなる…。
最近、勃興してきている、UBERや、AIRBNBなどのシェアリングエコノミーと呼ばれている新しいサービスなども、突き詰めれば、今存在する資源をどう有効に活用するかということだ。
UBERの本家本元は、移動サービスだけど、空いている車を利活用するという点、そしてAIRBNBは民泊サービスだけど、これもまた空いた部屋の有効利用という点での資源有効活用サービスともいえる。
こう考えていけば、モノをあまり増やさずして、それらを最大限に活用しているのかいないのかというのが、『課題』であり、またその『解決』策ということだ。
これまでは所有することが価値だった。
しかし、これからは、それらをどう使い倒すのかということが価値の有無を決める社会になる。
そうやって考えれば、もう少し違った解決策が見えてくるような気がする。
人口減少社会になれば、人の営みに必要なインフラは以前より、少なくて済む。
モノを増やさない前提で、活かしきること…これがこれからの社会の在り様だ。
私たちの事業の在り様も、その観点から考えると大きな転換点を迎えている。
これまでは『つくること』で価値を創造してきた。
しかし、先も述べたように、空き家である個人住宅にしろ、企業がもっている不動産や、それ以外の資産はちまたであふれかえっていて、もし、新たに何かを一つつくるのであれば、一つなくすくごとをルールにするぐらいにしなければいけない状況だ。
建築や土木の視点でいえば、実は新しくつくることのほうが今あるものを利活用することよりけっこう楽でもあったりする。
古い建物は、設備とか電気とか直接目に触れない部分で、使い始めると、突発的なトラブルをおこしたりする。
その点新しい建物は、そういうものが作る過程の中で明らかだから、トラブルはおきにくいものだ。
また日本という人間の国民性として新しいもの好きということもあって、あるものを活かすという概念はそう大きくは育てられていないようにも思う。
日本においては人口が減少していくことはかねてから言われているように明らかであり、人口の数に対してこれからますますさまざまなモノが適正な量を越えていくであろう。
すべてのものがずっとありつづけなければならないと思っているわけではないが、価値あるものはしっかりと次に生かし切る社会にはしていかなくてはいけないように思う。