以前、井戸を掘る方といっしょにお仕事をさせていただいたことがある。
氏いわく、
『僕らの業界は、若い人なんか全然入ってこないんですよ…』
と、少し落ち込みぎみに話をされた。
(建設業も若い人がなかなか入ってこない業界になってしまったのだけど…)
僕は、それを聞いて意外に感じた。
某ク〇タのコマ―シャルだったと思う。若者が、安心な水を届けるために海外で活躍している技術者の姿を30秒ぐらいにまとめているような内容だったと思う。
日本は水にはあまり困ったという話を聞かないからかもしれないけど、砂漠地方とか、水が貴重な地域にとってみれば、井戸は命を支える重要なインフラだ。
憧れや羨望のまなざしを受けるこそすれ、少なくとも自己否定しなくてはならないような仕事ではないと思っていたからだ。
そこで気づく。
結局そこで働く人が、どういう視点、考えをもって働いているのかということだ。
言葉にこそしていなかったが、会話の端々に自分たちは穴堀というなんとなくなりさがった感じ取れた。
自分たちが、そういうものだとなりさがったら、それどまりだ。
例えば、掃除一つをとってみても、世界中を美しい世界をつくるのだと思えば、掃除をする行為そのものは、箒一つでやっていることでも、それはとてつもなく、すごいことだ。
人のふり見てわがふりを振り返る。
自信はない。
だから、まずは圧倒的な量。そして質。愚直に理想を追いかけていく。
そうすれば、どんな仕事だって、相手を幸せに導く尊さがある。