但馬木造住宅振興協議会の研修会で、大屋町大杉を訪ねています。
ここは、大杉養蚕農家 重要伝統的建造物群保存地区として文化庁の指定をうけている場所です。
地元を拠点に活躍されているカワベさんにご案内をしていただきました。
僕は、こういう古い街並みを大事にしながら生活している人々をとてもリスペクトします。
フランスや、イタリアを訪ねたときも同じ感覚をもちました。
ただ、残念なことに、ここ大杉地区は全部で28戸あるそうですが、そのうちに実際にお住まいになっているのは10戸ほどなのだそうです。
ここには、あのよくメディアにも出てくる篠山の某氏もホテルとしてリノベーションした建物があります。
人の生活感が感じられないのです。
こういった伝統的建築物群が活き活きとした生活の営みがあってこその価値だと私は思っています。
古いから価値があるのではなく、古さをリスペクトしながら今を生きていることに価値があるのです。
はた…
と気づきました。
カワベさんというキーマンが大事に大事にその昔の暮らしを今に伝えようと努力されていますが、それだけでは不十分なのです。もっといえばハードをいくら価値あるものにしていっても、そこに暮らす一人一人が生き生きとしていなくては意味がないのです。
逆も真なりです。
私が暮らすハチ北は、昭和バブルのときにリニューアルをした鉄骨造りの建物があり、それ以降手をほとんど加えられることなくあります。
正直、ここを訪れた多くの人がこれが、スキーリゾートなのか?とあざ笑っていることでしょう。
ですが、一番失ってはいけないのは、たとえそんなみすぼらしいハードであったとしても、自分たちがここに生きているという生き生きとしたリアルな生活を醸しているかということでしょう。
(まあ、実際そこにしっかりとコミットメントしていれば、建物が中途半端なままであることはないのでしょうけれども…)
そんなことを感じた一日でありました。