某社役員の方とお話する機会がありました。
人不足は、どの業界でも深刻化しているわけですが、そこの事業所は、一次的に多くの人を必要とする業界で、これまでは地元の農業者の方などを雇用してきていたのですが、高齢化で集まらなくなっているため、派遣社員を多く採用しているとのことでした。
最近よく『派遣社員から正社員すること』がメディアでも言われているので、私はそのことを尋ねてみました。
『今、派遣社員を正社員にする動きになっていますけど、派遣社員は、正社員になることは望んでいないのですか?、もし望むのであれば、彼らのニーズに答えないといけませんね』
『年齢を重ねた人はそうでもないですが、若い人でよくみられるのは、組織に縛られるのが嫌ということです。
かといって、仕事をさぼるわけではなくて、働くときは12時間でも15時間でも一生懸命働きます。
その代わり、海外に行きたいとか、そういう別の目的ををもっているので、そのためには正社員になることを望まないんです。
海外志向のある人などは、優秀で英語もできる人が多いので、昨今のインバウンド対応などではものすごく活躍してくれます』
とのことでした。
メディアの中では、正社員になりたいがなれなくて派遣をやっている人という扱いをしていますし、昨今の働き方改革も、そのあたりとも連動しているわけですが、どうも実態は違うということがわかってきました。
おそらく…ですが、今の20代は失われた20年しか生きていないので、昔日本がバブルがあったころのことを当然知りません。
産まれたときから、不況な時代だったため、『お金』というものに私たちの世代ほどにはあまり頓着していないのでないでしょうか?
ただ、彼らは、自分たちが幸せに感じることをしっかり見極め、そしてエネルギーの使い方もそのことに注力していて、自己犠牲を払うのではなく、自分たちの生き方にはしっかりと足をつけて生きている。
そう考えると、実は彼らは相当にしたたかに生きているのではないか…。
私たちおっさんおばさんたちは、自分たちが生きてきたことを基準にその論理をふりかざすのではなく、彼らのニーズに応えるような体制をしっかりとつくっていかねばならない。
そんなふうに思いました。