但馬牛の産地として、今後も誇れる地域になれるのか | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

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どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。

 

タナチクさんのツイッターをみて感じたことを書きたいと思います。

 

 

私は、建設会社として、多くの畜産農家の牛舎を建築させていただく機会を得ることができました。

 

農家さんが、畜産経営を行っていくためには、元になる牛を購入し、牛舎を建てるなど、初期投資がかなり大きく、新規に就農したり、規模を拡大するために大きなハードルになっています。

 

畜産農家戸数と、飼養頭数は、兵庫県のにおいては、下記のとおりとなっています。

平成23年 1820戸、46100頭

平成28年 1390戸、42800頭

(農林水産省のHPより)

 

すべての牛が、但馬牛というわけではないですが、但馬牛の血統で、兵庫県で育成される牛は但馬牛ということですから、この中には但馬牛は多く飼われていると思われます。

 

このため、国は財政的な支援も含めて、取り組みやすい制度を整え、但馬牛の生産農家を育成し、頭数の確保に努めていますが、数字が示すとおり、全体の頭数は減ってきています。

 

その原因の一つは、タナチクさんのツイッターでもある通り、畜産経営に対する外部環境が変化しているということです。

 

昔は、我が先祖も、但馬牛を飼育していました。まだ、農業機械が普及する以前、牛を飼育して、農耕用に利用をしていました。

 

そして、また最終的に肉とするときには市場にもっていて、大きな現金収入にもなったと聞いています。

 

だから、家の近くに馬屋ならぬ牛屋があって、家族同様に飼っていたといいます。

 

しかし農業機械の普及や、農業から他の産業への生業を転換していき、畜産農家数は激減していきました。

 

いまは、畜産専業にやっておられる農家の方が多頭飼育をすることで、数の確保に努めています。

 

そこで新たな問題が浮上するようになりました。

それは牛舎建築の場所の確保です。

 

畜産技術の進行に伴い、環境改善がなされてきて糞尿処理は劇的に改善されています。

 

ところが、近隣住民としては、そういうものを受け入れることができなく、上記のツイッターのようなニュースが生じたりしてくるわけです。

 

畜産経営のためには効率経営が欠かせず、場所を集約することが戦略上重要です。

 

そのために、畜産農家さんは、大規模な牛舎を建築するのですが、その理想的な場所として田畑を利用したらと多くの人は思うかもしれません。

 

実は、農地法という非常に厳しい法律で田畑は守られています。現在は、田畑の上に牛舎を建てることはできません。

 

牛舎を建てるためには、登記上の名目を田畑(農地)からそれ以外にする必要があります。

 

農地を農地でなくするためには、地元区長の同意のハンコが必要となり、地元自治区の総会などで、同意を得る必要があります。

 

ただ、全住民からの同意を得るのは、相当ハードルが高く、誰かからの反対があれば、当然ハンコなど押せなくなってしまい、そこで計画がとん挫することはよくある話です。

 

逆に、住民生活に影響のない場所を求めて、山奥であったり、斜面などの立地的に厳しい場所になったりすると、造成工事が多額に必要になったり、また冬季間にその場所に行くための除雪費用が多くかかったりするなど、効率経営にならないようなコストの問題にもぶちあたることになります。

 

このように、この但馬牛は私たちの地域にとって大きな資源であることは間違いないのですが、それを取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ません。

 

但馬の人間はおろか、日本人にとって但馬牛が、観光、農業振興など重要な資源であることに疑いはありません。

 

私たちは、『肉』として但馬牛を利用するためには、『飼育する』というその前があることを頭では理解できています。

 

しかし、私自身、たまたまそのような形で関わることがあったので、他の人にくらべると関心が高いのかもしれませんが、まだまだ多くの人にとってはこの問題を自分化できていないと思います。

 

今一度、但馬に住まう私たち自身の問題として、このことを考える必要があると思います。