PL学園、2年連続の初戦敗退 | アマチュア野球をめぐる旅。

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秋季近畿大会・1回戦、近江(滋賀1位)対PL学園(大阪2位)を観戦にわかさスタジアムに足を運んだ。

様々なメディアで報じられている通り、PL学園は来年度の硬式野球部の新入生受け入れ停止を発表している。
春3回・夏4回の甲子園優勝を誇る高校野球界屈指の名門が、再来年には廃部の危機に晒されている。

PL学園が甲子園に残したはインパクトは、内容の濃さや質量も高校野球では随一と評して差し支えない。
「逆転のPL」「KKコンビ」、人文字でのアルプス応援、横浜との延長17回の激闘など戦績以上に印象深い。



試合前のPL学園ナイン


近江は小川良憲、PL学園は山本尊日出という両エースを先発マウンドに送り出した。

小山は夏の甲子園でも登板、鳴門戦では最速145㌔を計測。来年のドラフト候補として注目を集めている。
178cm・74kgという体躯。スリークォーターから投じる力強いストレート、スライダーは好素材である。

1回表、1番・奥田莉久が四球。2番・檀享平が犠打で送ると、3番・杉野翔梧の左越え適時二塁打で近江が先制。



近江の先発・小川良憲


2回裏、4番・グルラジャニ・ネイサンが左打席から左中間最深部へ運ぶ本塁打でPL学園が同点に追い付く。
さらに5番・大丸巧貴が内野安打、6番・大和久広輝が犠打で得点圏に走者を進める。
7番・宮木樹が遊ゴロで凡退するが、8番・山本が左翼線へ適時二塁打を放ち、勝ち越しに成功する。

5回表、近江は一死満塁から1番・奥田の左犠飛で同点に追い付いて、試合は中盤から後半戦に突入する。



PL学園の先発・山本尊日出


8回表、3番・杉野が左中間へ三塁打を放つ。打球処理をした外野から中継がもたつく間に三塁を陥れた好走塁。
4番・笹治健汰に四球を与え、無死1・3塁と勝ち越しの好機。5番・山本大地は初球をスクイズ、近江が再逆転。

一点を争う試合展開を考えると、PL学園バッテリーは用心深く初球を入るべきだったように見受けられる。
指揮官の不在を甲子園の懸った大事な戦いの終盤で露呈してしまったような印象である。



わかさスタジアムのネット裏は満席


8回のスクイズが決勝点になり、試合は近江が3-2でPL学園を下して準々決勝進出を決めた。
来年度の新入部員受け入れ停止を発表したPL学園は、昨年に続き初戦敗退。センバツ出場が絶望的である。

PL学園は野球経験の無い正井一真校長が監督として登録されているが、近江戦のベンチは編成が異なる。

野球部OBで保健体育の教諭である千葉智哉コーチが、所用で外れた池田秀男部長に代わって部長登録された。
ただし、非常対応であり常時ベンチ入りしている指揮官だからこそ体得する「試合勘」を期待するのは酷である。



昨年に続き近畿大会・初戦敗退のPL学園


2回裏、逆転直後に9番・中田一真が四球。1番・謝名堂陸の中前安打で満塁とするが、四者残塁で攻撃終了。
6回裏には4番・ネイサンが無死から二塁打で出塁するが、後続が凡退。絶好の好機を得点に繋げられなかった。

無警戒にスクイズを許した8回の守備、好機を活かし切れなかった攻撃に指揮官不在を痛感した試合であった。