春季関東地区高等学校野球大会を観戦に袖ヶ浦市営球場に足を運んだ。
大会一日目、第二試合・佼成学園対向上戦のレポートを。
佼成学園の試合は初めての観戦になるが、向上は神奈川大会準決勝で二週間前に目にしている。
厚木北を相手に10-0というスコアで一時間弱の試合時間で関東大会進出を決めた。
ファーストストライクを積極的に振ってくる上にミスショットの少ない活発な打撃が印象的である。
決勝戦は慶応義塾を相手に二回表まで4-0とリードを奪いながら、5-13で打ち負けている。
初めての関東大会となる向上は活発な打線を持て余しながら、佼成学園に敗れた。
ちなみに、佼成学園は48年ぶりの関東大会出場との事である。
佼成学園・溝口太一の両サイドを丹念に投げ分け、変化球とのコンビネーションに翻弄された。
溝口は右バッターには浅いカウントで内角を意識させて、外のスライダーを効果的に配していた。
ストレートは目測で120㌔台後半から130㌔台前半。
驚くような球威はなくても、配球と組み立て次第では関東レベルでも十分に通用する事を証明してみせた。
佼成学園の守備陣が打者、アウトカウント、ボールカウントなど状況に応じて守備位置を微調整していた。
八回裏、4番・栫啓恭を迎えた時は三塁手が守備位置を下げて三塁線を締めていた(下記写真参照)。
予想通り三塁線にゴロが転がり、難無く捌いてアウトにしていたのが印象に残っている。
バッテリーの配球を守備陣が理解して、チーム一体となってアウトを奪い取る「攻撃的守備」。
向上の先発・塚脇浩を取り上げてみたい。
身長186cm、体重70kgと長身で細身の体型の右腕。ストレート、スライダー、カーブを持ち球にする。
塚脇の魅力は長身を活かしてオーバーハンドから投げ下ろすストレートである。
指に掛かった時のストレートは惚れ惚れするような球筋でキャッチャーミットに一直線の軌道を描く。
しかし、この日は良いボールと悪いボール、高低と左右にバラつきが目立っていた。
また、長身を最大限に活かすために軸足の膝が折れる点は改善を試みてもいいのではないだろうか。
後方に重心が落ちてしまう事でパワーロスが生じ易い事、何より折り曲がった膝の分だけ角度が浅くなる。
塚脇のスライダーはネット裏から見ると、角度があり打者は非常に打ち難いように見受けられた。
打者の手元で曲がるというよりは軌道の途中から変化を見せるが、長身から放たれる軌道は見慣れない。
余談ではあるが、ピッチャーは角度を変えてみると、見えなかった魅力や欠点が見えて来る事がある。
角度のあるストレート、スライダーを活かすために逆の変化球(チェンジアップ)を修得したい。
細身の体型ではあるが、体重を増やすと同時に下半身の強化が進めば大きな飛躍が待っているだろう。
今後の塚脇の成長を楽しみにしたい。