プロ・学生より一足早く今年最初の公式戦、JABA東京スポニチ大会を観戦に神宮球場に足を運んだ。
社会人野球は夏の都市対抗、秋の日本選手権が二大タイトルとして各チームが凌ぎを削る。
東京スポニチは秋の日本選手権予選を兼ねている為、優勝チームには出場権が与えられる。
東京スポニチ大会の出場は16チーム。4ブロックに4チームが分かれて予選リーグを戦う。
各ブロック1位が準決勝に進出。準決勝以降はトーナメント方式で優勝を争う大会運営。
準決勝はNTT西日本対日本製紙石巻、JX-ENEOS対住友金属鹿島という組み合わせ。
観戦したのは第二試合、JX-ENEOS対住友金属鹿島という対戦カード。
余談になるが、JX-ENEOSは日本石油として創部した。
99年に日石三菱、02年に新日石とエネルギー産業再編で度重なる名称変更を強いられる。
更に05年にはサービスステーションを冠した新日本石油ENEOSというチーム名に改称。
JOMOとの経営統合により社名がJX日鉱日石エネルギーと改まり、野球部もJX-ENEOSと変遷している。
近頃では使用頻度が下がったが、社会人野球はかつてはノンプロという呼び名が一般的であった。
つまり「プロではない」というだけで限りなくプロに近い技術水準にあるのは今も昔も変わりない。
シートノックで一際目を惹いたのはJX-ENEOSのショートストップの俊敏で無駄の無い動きであった。
名門JX-ENEOSのショートを守るのは渡邉貴美男(国学院大)である。
社会人一年目、ハンカチ世代のひとりであり、世界大学選手権の日本代表に選出された有望選手。
昨秋、国学院大の東都初優勝を主将として牽引すると同時にMVPに選出された。
163cmという小柄な体格を憂慮してか、プロ志望届を出さずに社会人に進路を取った。
堅実な守備は社会人レベルでも見劣りするどころか、一際目を惹く完成度の高さであった。
さらに、ハンカチ世代から新加入選手、山田敏貴(早稲田大)を紹介したい。
斎藤佑樹、大石達也、福井優也らと共に早稲田大の屋台骨を支えた貴重な右の強打者。
早稲田実の一年生を二回履修しているため、06年夏の甲子園の優勝メンバーではない。
三年生からレギュラーに定着すると勝負強い打撃を発揮。
昨秋、立教大とのリーグ戦でのサヨナラ本塁打、明治神宮大会の決勝適時打などが記憶に新しい。
この日の山田は、空振三振・併殺打・中直飛と三打席ともに奮わなかった。
早稲田時代から時折見られた右肩が下がり、ヘッドの軌道が外旋しながらアッパースイングという悪癖。
ボールを強く叩こうという意識より一発を狙っている意識が強いように見受けられた。
早くも名門JX-ENEOSで先発メンバーに名を連ねるハンカチ世代のふたり。
果たして近い将来のプロ入りはあるのだろうか、どんな野球人生を歩むのだろうか。
今後の活躍と成長曲線を楽しみに見守りたい。
JX-ENEOS野球部
http://www.jx-group.co.jp/baseball/
住友金属鹿島硬式野球部後援会
http://www.smi-bb.com/
また、この試合終了後から30分ほど後に東日本大震災が発生。詳細は衆知の通りである。
スポニチ大会は決勝に進出した2チームが優勝を分け合う形となった。
センバツ大会、プロ野球の開催の可否が議論されたり、一部のスポーツイベントは中止になっている。
しかし、野球やスポーツだから出来る復興支援があるように思う。
西日本の方とは温度差があるように思うが、震災以降東日本ではメディアは震災と原発報道に終始している。
当然、生活には必要以上に悲壮感や焦燥感が漂っている(ように感じる)。
都心では日中でさえ深夜の様に人通りが少なく、スーパーでは食料や消耗品が棚から姿を消している。
今だからこそ、娯楽で人々の心を楽しませ、和ませる事が平常時以上に必要であるように思う。