千葉大会・決勝戦、成田対東海大望洋戦を観戦に千葉マリンスタジアムに足を運んだ。
最寄り駅であるから海浜幕張から徒歩で移動したが、陽炎が浮かぶような暑さだった。
両校の好投手、成田・中川諒、東海大望洋・長友昭憲の投手戦を期待して球場に向かった。
その期待に違わぬ投手戦になった。
両校とも無得点で迎えた6回に中川・長友の息詰まる投手戦の均衡が破れる。
成田は一死一・三塁の好機に三番・金子の右前適時打で、唯一の得点で決勝点となる先制点を奪う。
試合後のインタビューで金子は
「この大会はチャンスで打てずに迷惑をかけ続けたので、
キャプテンとしてではなく打者として打席に立った」と答えると、応援席が多いに盛り上がっていた。
成田・中川諒の投球は甲子園の懸かった大一番で圧巻の内容であった。
本人が憧れを公言する唐川侑己(成田→千葉ロッテ)のようにスローな初動を基点に
スリークォーターから130㌔中盤の速球を中心に組み立てる。
特に右打者のアウトハイへのストレートはホップするように伸び上がり非常に効果的であった。
今大会、中川の投球はテレビで何度か観戦しているが、
ナチュラルシュートするストレートが真ん中に入り痛打される場面が気になっていた。
しかし、この日に限っては修正出来ていたように見受けられた。
また、昨年観戦した時に気になっていた股関節の硬さが消えていたのは驚いた。
上体の力が下半身に伝わらないような勿体無いフォームから大きな躍進である。
本格派投手の育成に定評のある成田首脳陣の指導育成力とみるのが自然ではないだろうか。
中川は9回を投げて被安打1、11奪三振で東海大望洋打線を完封した。
ちなみに11個の三振は全てストレートがウイニングショットであった。
最速は139㌔であったが、球持ちの良さとスリークォーターから放たれるストレートの威力は
球速以上であった事が推測される。
出塁を許したのは4、8回の2イニングのみで、結局三塁を踏ませない危なげない投球であった。
ハイライトは8回初ヒットを許した後、二死二塁からこの試合最速となる139㌔のストレートで
投手戦を繰り広げた相手エースである長友昭憲を空振り三振に仕留めたシーンである。
長友が悔しさから空振りしたバットを叩き付けそうになりかけていた姿が印象である。
成田は20年ぶり7度目の夏の甲子園出場を決めた。