東浜巨に続き、東洋大・乾真大(4年・東洋大姫路)の投球フォームを連続写真で紹介したい。
高校時代は三年夏の甲子園に出場。ベスト8に進出後、高校日本代表にも選出されている。
08年春のリーグ戦では4勝を挙げる活躍で、最優秀投手とベストナインを受賞している。
身長175cm・体重74kgというサイズではあるが、マウンドではプロフィール以上に大きく見える。
乾は走者がいない場面ではノーワインドアップモーションで投球動作を始める。
打者の動きを観察するように、ゆったりとした動作が印象的である。
「ボールの出所が見え難い」と評される乾の投球フォームの真骨頂が見て取れる。
左腕は打者視点では乾の体で完全にブラインドになり、全く見る事が出来ないだろう。
ソフトバンク・和田毅を彷彿とさせる左腕の使いこなしに乾の探究心と努力が見え隠れする。
東浜の投球フォーム紹介でも説明したので詳細は割愛するが、乾も「くの字」でステップする。
これも東浜同様ではあるが、トップの位置で軸脚の踵がプレートをしっかりとグリップしている。
踵がブレートに接地している事で上体の開きをロックする役割を果たす。
この段階で軸脚の踵が接地しているか、どうかは投手としてのクオリティに大きな影響を及ぼす。
リリースの瞬間で注目すべきは踏み込みの深さではないだろうか。
プロアマ問わずブレートから6歩から6.5歩が目安とされるが、乾の踏み込みは7歩と推測する。
踏み込みの長さに加えて、右膝の折れ方が実に力強い。股関節の柔軟性がもたらす賜物である。
乾のストレートの大半は130㌔台で球速表示は決して目を引くようなものではない。
ただ、神宮球場で観戦していると球速表示以上に速く感じてしまう。
ピッチャーズプレートからホームベースまでの距離は18.44mである。
この距離間では僅かにリリースポイントが前に行く事は球速を上げる以上に効果的なのかもしれない。
乾の投球で最大の持ち味は縦横2種類のスライダーではないだろうか。
特に縦(と思われる)のスライダーは打者の手元で小さい変化ながら鋭く曲がる。
リリースポイントがホームベースに近い事で可能にする芸当だと考えられる。
今シーズンからストレートと変化球のリリースポイントを一致する事に成功したという。
昨年は春と秋は期待外れに終わった乾であるが、大学最終年の活躍を期待したい。