中田翔と杉谷拳士との再会 | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

日本ハムのファームが本拠地にしている鎌ヶ谷という地名と場所をご存知ででしょうか?

千葉県の北西部に位置し、柏市や船橋市に隣接する人口約10万人の小規模な市である。
柏・船橋は東京のベッドタウンとして発展した。

よって、鎌ヶ谷は柏と船橋から奥に分け入った更なるベッドタウンという立ち位置になる。
おそらく首都圏で生活する人でも正確に場所を言い当てられる人は少ないだろう。


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鎌ヶ谷の駅前の風景。バスに乗り切れない場合、徒歩でも20分程度。タクシーでは5分くらいです


その鎌ヶ谷市にファイターズは97年に川崎市から移動して以来、地域密着を打ち出している。
生え抜きの活躍が目立つファイターズの選手にとって、鎌ヶ谷は登竜門となっている。


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レフトの後方に見えるのが室内練習場と左隣が寮になる為、日ハムは三塁ベンチに入る


今日は千葉のライバル、ロッテとの対戦であった。さらながら、千葉ダービーの様相である。
今日の観戦目的はファームで成績抜群の中田翔(2年目/大阪桐蔭)である。
試合前の成績は打率.322(101安打)、本塁打30本、打点93。イースタンの三冠王である。


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ネット裏と内野席は試合開始前に満員御礼状態。外野芝生席が開放された


三冠王、中田翔がどんなバッティングをしているのか自分の目で確かめてみたかった。
単刀直入な感想は「ファームでは別格」。あとは一軍の実戦で鍛えるのみという印象である。


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深呼吸しながら肩の力を抜くように構えに入る姿が印象的だった


第4打席、左翼後方に位置する寮にツーバウンドで到達するという大ファールをかっ飛ばした。
その残像を頼りに、再度強引にでも引っ張りに掛かると予想した。

が、直後には、右半身に重心を残して右中間にあわや本塁打という二塁打を打ってみせた。
長距離打者ならキャリアに関わらず、誰でも陥りがちなワナに引っ掛からなかったのだ。

もはや中田が、ファームで学ぶべき事は少ないように思えた。
プレイオフまたは来季を楽しみにしたい。いや、一軍で使い続けるべき選手だと思う。

杉谷拳士(1年目/帝京)は、攻守にハイセンスなプレイが目についた。
帝京時代から一年生ショートとして注目を浴びて、1年夏から2年春と夏の三季連続甲子園出場。
最終学年こそ甲子園出場は成らなかったが、体のサイズが大きくなり長打を連発。


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中田と共にインタビューを受ける杉谷。杉谷はマイクパフォーマンスでもスタンドを沸かせた


今日は高校時代のショートでは無く、セカンドで出場。
右打席から、左翼席への弾丸ライナーでの本塁打(今季初本塁打)。

左打席から、しぶとく右前安打を放つなど才能の片鱗を感じずには居られなかった。
帝京時代に胸板の厚さが目立った杉谷もプロに入れば標準的なサイズである。
高校時代から守備位置の変更を一年目にして消化。
元来の利き打席ではない左打席から結果を残すあたりに杉谷の高い野球センスを感じる。


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両軍合わせて28安打が飛び交う乱打戦であった。3時間半に及ぶ熱戦であった


ちなみに、この中田翔と杉谷拳士であるが、夏の甲子園でニアミスをしている。
06年8月12日、第一試合(帝京10-2如水館)と第四試合(大阪桐蔭2-11早実)での事である。
当然、顔を合わす事さえ無かったと思われるが、ボクの記憶には鮮烈に残っている。

この日のお目当ては、走塁を絡める事をカラーにしたNEW帝京の第一試合。
そして、センバツ王者・横浜を撃破した大阪桐蔭打線と早実・斎藤の対戦を期待した第四試合。

あれから三年以上の月日が流れた。

鎌ヶ谷で二人が同じグランドに立つ事になるとは運命とは分からないものである。
そして、こんなドラマに気付くのもアマチュア野球とプロ野球の往来を繰り返すからこそである。
プロ野球はアマチュア野球の延長線に位置するものだと改めて思い知らせられた一日だった。